いち
□ロマンチストですから
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あ、アヒルの後頭部に寝癖発見。
メイクさんが気付かなかったのかな。いや、どっか壁に寄っ掛かりでもしたんだろうな、あの人のことだから。
もう、そのままでいいんですか?
「ヒョ…ん?」
教えてあげようとしたら、横からドンウヒョンが来て、はしゃいでる本人に何も言わずに、指で髪を整えてあげてた。
優しいですね、それって単なる弟への優しさ?まぁ、どっちだっていいけど。
「…?ドンウヒョン、どうしたんですか、今なんで触ったの?」
「んー?…なんでもないよ」
そう言ってかっこよく去っていったドンウヒョン。
「なんで?ねぇ、なんでですか?ヒョンってば!」
しつこいジョンファンヒョン。
唇を出してうるさく鳴いてるヒョン、ほんとにアヒルみたいですよ。
もう、せっかくドンウヒョンがスマートに直して離れようとしてたのに、わからない人ですね。
こうなったら、ソヌヒョン投入!
…な〜んて、放っておいても行ってくれるよね、きっと。
「ジョンファナ!見て!これ良くない?」
「え、あ…わぁ!すごーい!いいね!」
わぁ、すごーい。無理矢理合わせた感がすごーい。
あ、離れそう。うーん、まだヒョンを追いかけて問い詰める気?
しょうがないから、俺、投入!
「ヒョ〜ン、それなんですか?」
「お、チャナぁ〜、見て、綺麗に撮れた。俺才能あるわ!」
「…わぁ。」
まさかドンウヒョンの写真だったとは。
それをソヌヒョンに見せられて気もそぞろみたいですね。
でも「バロヒョン」にしっかり肩をホールドされた「サンドゥリヒョン」、傍目には完璧にバドゥルってますよ。
まだドンウヒョンのところへは行っちゃダメ。最高のシナリオになるにはもう少し我慢してください。
これからお仕事ですからね。これが終わって、あなたがサンドゥルからイ・ジョンファンに戻ったら。
そしたら俺が教えてあげるんです。
あ、ヒントくらいにしましょう。全部言ったんじゃ面白くない。
本人に気付かせたいよね、やっぱり。
「うぁー!今日も働いたっ!」
イェス。まさに今、タイミングですね。
「ヒョンごめんなさい、俺、言えなかったことが…あれ?直ってますね」
突然話しかけたら、口を開けたままぽかーんとして、全然わかってないって顔。
やめてください、その顔面白くて笑っちゃいそう。顔の筋肉がつっちゃいます。
「チャニってば、何の話してるの?」
「あ、いえ、寝癖があったから言おうと思ったんだけど、本番前に言えなくて。でも、良かった、気づいたんですね」
「え、嘘っ!?気づかなかったよ!直した覚えもないしっ、…って、あれ…?」
自分の髪を手のひらで一生懸命撫で付けながら焦るヒョンが、突然はっと目を見開いて動きを止めた。
はい、俺の役目、終ーわり。
イ・ジョンファンロケット、Go!
「ドンウひょーーーーーん!」
「うぉっ、何、どうしたの」
「もうっ!ヒョンかっこいい!!」
「え、何、ちょ…苦しいよ」
「帰りのバン、隣に座りましょう!ね!」
「ん?ソヌの隣じゃなくていいの?」
「いいの!今日はヒョンの隣がいいんです!どうしても!」
ロケットの如く飛んでいったジョンファンヒョンがドンウヒョンにぎゅうぎゅう抱きついてハートを飛ばしてる。
どうですか?俺のちょっとしたお手伝いのおかげで、最高のシナリオでしょ。
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