いち

□恋する男、コン・チャンシク
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「ジニョンヒョ〜ン」

「ん…チャナ…?」

爽やかな朝、妙に響くふたり分の声。そう、ここは、魅惑のバスルーム。

「一緒じゃ…ダメ?」

「ううん、いいよ。こっちおいで」

「やった」

アツい夜を過ごした後のラブラブシャワータイム…とかじゃない。
そもそもなんでこうなったか、遡ること、あ、いや、遡るほどじゃないや。
ほんの数分前、朝ごはんの時間。

B「いーじゃん、シリアルに牛乳で」

C「でも栄養が…」

S「あれ、ソヌ、その牛乳古くない?」

B「えっ、うそ!」

そう言って、ソヌヒョンの、牛乳パックをもつ手に力が入った瞬間。

ぷしゃっ

J「えっ…?」

B「わ、わぁぁ!ジニョンヒョン!ごめんなさい!」

S「ソヌ、なにやってんの!大変っ、ジニョンヒョン、シャワー!」

J「あ…うん、行ってくる」

そして今に至ります。
牛乳まみれのジニョンヒョンはちょっとエロくて、写真撮っときたかったくらい。


―――――

全部舐めとってあげる…

「え…あっ…チャナぁ…」

ん…ここ?くすぐったいの?

「や…ぁ、ダメぇ…っ、そんなとこ…ッ」

―――――

みたいな展開には残念ながらなっていない。まぁ、期待してなかったけど…。

「チャナ?」

「あっ…なんでもないです」

「…何か悩みがあったら言うんだぞ?」

「は〜い…」

今のところ、ヒョンをどうやって手にいれるかが悩みです。
それにしても、無防備ですよヒョン。僕じゃなくても、言われたら一緒にシャワーを浴びるの?
ダメダメ、男はみんな狼なんですよ。特にジニョンヒョンの身体、華奢なそのラインが男の欲を掻き立てるんですから。
それにほら、それ。綺麗な薄い胸に、ぷつっと2つ…あぁ…エロい…。

「…チャナー?」

「はっ……なんですか?」

「またぼーっとしてたよ、ほんと、どうしたの?」

「…病気…かも」

嘘はついてません。恋患いです。

「えっ、チャナ、またお腹痛いの!?大丈夫?あっ…病院…っ、行かなきゃ!」

「ち、違います!違うの…大丈夫だから…そうじゃなくて…」

失敗。心配させちゃった。焦らせちゃった。ごめんなさい、そうじゃないんだ…。

「どこが痛いの?どんな病気…?」

「胸が…苦しい、みたい…」

「胸?」

「ある人のこと、見たり考えたりすると、どうしても…」

ヒョンが、目を見開いて、ついでに口もぽっかり開けて、唖然としてる。
そう…恋、してるんです…あなたに!

「驚いたな…チャニも同じ気持ちだなんて…あぁ、感激だ…」

「!!…ジニョンヒョ…っ」

びっくりして口を開いたら、ヒョンの指が唇に押し当てられた。
これ以上言うなってこと…?僕、こんなときをずっと心待ちにしてた…。ついに、ついに僕たち、結ばれるんですね!

「言わなくてもわかるよ、BANAのことでしょ?俺も、考えると胸がきゅーってなってさぁ…苦しいんだ…」


「…へ?」

「…ん?」

なんだって?


なに、じゃあ、さっきの会話は「リーダーとマンネ」の会話だった?
おかしいな、いつから?…もしかして最初から?最初から、ただのマンネ?

…そりゃそうか…そうだよね…。なんだか、全身から力が抜けていくようだ…。

この恋、どうやら道のりは相当長そう。でも男コン・チャンシク、諦めませんよ…!

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