いち

□イ・ジョンファン雨の日の憂鬱
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大雨が降った日。ジニョンヒョンと二人、雨に打たれて、やっと宿舎に帰ってきた。うわ…びしょびしょだぁ…。

「ヒョン、タオル…、っ」

急いでタオルを持ってきてヒョンに渡したら、ヒョンが濡れた服を脱いでるところだった。
上半身を反らせてシャツを脱ぐ体の動きっていうかラインが、なんだか見ちゃいけないもののような気がして…。

「寒っ…シャワー浴びよう。ジョンファンは?」

「えっ、あ、俺はヒョンの後で」

「あ、ダメ。そんなのダメだよ。俺が出てくるの待ってたんじゃ体冷えちゃうじゃん。風邪ひくって」

「いやいや、俺は平気ですから!ヒョン先にどうぞ!」

「ダメだってば!一緒に入っちゃおう、狭いけど」

「えっ…」

二人っきりでシャワーってちょっと気まずくない?気にすることないのかなぁ…。

「ほら、風邪ひいて声出なくなったらどうするの」

「それは…だめ」

「でしょ?濡れた服はやく脱いじゃわないと冷えるよ」

「はーい…」

素直にTシャツの裾を捲ったけど、濡れて肌にはりついて脱ぎにくい。ヒョンが笑ってる。

「もー、何してんの?」

「う、うまく脱げなくって…」

「よしよし、ヒョンがやってあげよう。はい、ばんざーい」

「もう!子供じゃないんですから!」

クスクス笑いながら、ヒョンがTシャツを脱がしてくれた。って、そこまでは良かったんだけど…。
水を吸ったジーンズはすごく重くて、脱ぐのに手間取ってたらヒョンが、俺の足元にしゃがんだ。

「手のかかるやつだな」

「えっ…ヒョン、いいです、そんな!」

年上なのに、こんなお世話係みたいなことさせられないよ!

「ほら、足、かして」

「うー…」

結局ヒョンに裾を引っ張ってもらってようやく脱いだ。二人ともすっかり体が冷えて震えてる。

「パンツくらいは自分で脱げるよな?」

「あっ…当たり前じゃないですかっ!ヒョンだって頼まれても嫌でしょ?」

そんなの有り得ないよね、人のパンツ脱がせるなんて…

「え、別に、嫌じゃないよ?」

「えっ?」

予想外だった。ほんとにあっさり言われて戸惑ったくらい。

「もし俺が脱がせてって頼んだら、ジョンファンは…嫌?」

「え、あ、あの…」

もしかして、嫌って言ったらヒョンか傷つくかな。あ…えっと…そう、メンバーなら。ジニョンヒョンなら、嫌じゃないです!

「なんてねっ、冗談!……もう入ろうよ、寒いじゃん」

「……弄ばれた」

「なにそれ、ほら、早く」

ちょっと拗ねた顔をしながらもほっとして、ヒョンの声に促されてパンツに手をかけた、その時。

「ちょーっと待った」

振り向けば、可愛いマンネがにこにこしながらこっちを見てた。その隣にはドンウヒョン。
チャニの目は笑ってなくて、実際寒いんだけど、ほんとに背筋が凍る思いだった。

「チャナ…」

「ジニョンヒョン、大丈夫ですか?体冷えちゃいましたね?」

「え、あ…うん」

「今から俺が じぃ〜っくり あっためてあげるんで安心してくださいね」

「やっ…待って…チャナっ!」


あちゃー…ヒョン、さらわれちゃった…。
チャニは、ジニョンヒョンと俺が一緒にシャワーを浴びるのが許せなかったみたい。
それにしても、あんまり突然だったもんだからびっくりしちゃったよ。

「ジョンファン」

「あっ…はい?」

「お前は、こっち」

ドンウヒョンの声にはっとして、気付いたらヒョンに腕を引かれてた。

「ひゃあああ!?」

「変な声出すなって…」

「びっくりした…いきなり熱湯かけないでくださいよぉ」

「あれ?熱い?」

「すっっっごく!」

ほんとはちょっと。びっくりしたからつい大げさに言っちゃった。ごめんなさい。
あ、でも、俺は今ご機嫌なんですよ。(ジニョンヒョンのことは大いに心配だけど)

「目つぶって」

「つぶってますー」

だってヒョンがシャンプーしてくれるなんて言うんだもん。あぁ〜なんかくすぐったいなぁ。
わしゃわしゃって、マッサージみたいで気持ちよくて。俺の唇からも自然に歌がこぼれて…。

「……。」

「…ヒョン?」

「なに」

「あの、痛いです」

「そう」

ふぇぇ、ヒョン力入れすぎっ痛いよ!はげちゃうよ!あ、まさか妬いたの?

「ヒョ〜ン…いじめないでぇ…」

「きっと今はジニョンのほうが大変な思いをしてると思う」

「ち、違うじゃん、ジニョンヒョンとチャニのは、あれは愛じゃん!」

「俺のも愛だよ?」

「えっ…」

愛?うそ、愛って言った?いつもそんなこと言ってくれないのに!

「ヒョン、もう一回言っ…」

「Help meーっ!!」

…なんだよ…なんで、なんでいいとこなのにソヌが乗り込んでくるんだよ…!

「ヤァ!チャ・ソヌ!」

「なぁ、何かあったの?チャニすっげー顔してパンいちのジニョンヒョンをベッドに投げてたんだけど」

「っ…//し、知らないよ!」

「ジョンファン動くな、目に泡入るよ」

うぅ…だってソヌが変なこと言うから…。

「ドンウヒョ〜ン、今日は何回くらいで解放されると思います?ジニョンヒョン」

「ば…バカ!変な想像するなよ!」

「んー…3回くらい?」

「もう!ヒョンも答えなくていいのっ!」

二人してなんてこと言ってるんだよ…よく知らないからそんなこと言えるんだ!
あの二人がしてるの見たことある?…ほんとジニョンヒョン大変だと思うよ、うん。

チャニには睨まれるし、結局ドンウヒョンとの甘い時間も叶わなかったし…今日はなんて日だ、全く。
何もかも雨(とソヌ)のせいだバカヤロー!


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