連載(You raise me up2)
□2-第2章
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楽しかった夏休みも終わり、いよいよ今日から新学期がはじまった。
一カ月ちょっとの休みだったが、久しぶりに会うクラスメイト達の顔ぶれは何処か懐かしく感じられる。
・・・
「さんちゃん、久しぶりだねぇ!何だか前期より更に可愛くなったねぇ!」
HR後の休み時間。
神田と共にやってきて自分の机を囲むクラス1のド天然・ピュア少女、利香の言葉にさんははにかみ笑いを浮かべる。
「そ、そうかなぁ!ありがとう。」
するといつの間にかさんの隣の真田の席に来ていた柳生が意味深げに咳払いをした。
「コホン・・・恋は女性を美しくするそうですからね。」
その言葉に利香は顔を輝かせた。
「えええ!!!恋っ?さんちゃんが!?わあ、素敵!相手はだぁれ?もしかして幸村君!?仲良いもんねぇ!」
盛り上がる利香に神田と真田が同時に食ってかかった。
「馬鹿言ってんじゃねぇぞ、利香!あんな魔王にさんはやんねぇ!」
「そうだ!さんは幸村ではなく・・・!その・・・お、お、お・・。」
顔を真っ赤にしてドモる真田を利香はキョトンとした表情で見つめる。
「お・・・?」
「なんだよ、真田。もったいぶらずに言えよ!」
「立海一の変態美少女の心を射止めたやつは誰なんだ!?やっぱテニス部員か?仁王とか丸井とも仲良いもんなぁ。」
気がつけば他のクラスメイトも真田に注目し、聞き耳を立てているようだ。
「っ・・・。」
真田が唇を戦慄かせながら言葉に詰まっていると・・・。
ガターン!
勢いよく教室のドアが開いた。
「あ、幸村君!」
利香の声でクラスメイトの視線は一斉に真田から幸村に移った。
「やあ!下衆ども!あれ、真田どうしてそんな顔を真っ赤にしているんだい?・・・もしかして昨夜はスゥイート・ラバーさんと激しい一夜を過ごしたのかな?全く憎たらしい・・・じゃなくって羨ましい限りだよ!」
「な!・・・破廉恥だぞ、幸村/// 俺たちはまだそんなことは・・・。」
真田はさんをチラチラと気にしながら答えた。
・・・しかしそんな二人のやり取りにA組の生徒は全員硬直し、水を打ったように静まり返ってしまった。