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□初めての・・・
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(3日後)


(今日は御剣に会えるんだ。審理をちゃっちゃと終わらせて…顔見たら抱きついちゃうかも知れないなあ…神聖な執務室がどうのって言ってたけど、キスくらいできるかなあ…その先はあと3週間以上おあずけで…って何考えてんだ僕。まずは仕事仕事!)
「なるほどくん?」
「え、あ!はいっ。弁護側準備完了しております!」
「全く、ただでさえ馬鹿なのだから集中くらいしたらどうなの?」
「え、狩魔検事!?な、なんで君が…」
「国際犯罪を追って日本に来たら急な欠員が出たとかで検事局が天手古舞で駆り出されたのよ!(苛立って)ピシィ」
(うう…これはちゃっちゃと終われそうもないぞ…)
「顔色が冴えないわよ、成歩堂龍一。具合でも悪いのかしら?でも安心しなさい、すぐ終わるわ」
(…それはそれで困る)
「冒頭弁論を始めるわ。私も忙しいのよ」
ビシッバシッ
「ひぃぃっ(虫の居所が悪いみたいだ)」
「(怜侍のあの腐抜け具合!何だというの?ニヤニヤして厭らしい…!まさか、まさか?) 刑事!さっさとしなさい!」
ビシッ!
「ハ、ハイッスゥ!今回の事件は〜」
「(うう、狩魔検事さっきから変に睨んでくる。でもなんか泣きそう?あぁ面倒だけどとにかくムジュンを早く見つけないと)」
「い、異議あ」
ビシッ!
「いてええええ!」
「異議など認めないッ!」
「狩魔検事、大荒れだね…なるほどくん、スーツあっちこっちが裂けてるよ…」
「このままじゃ素っ裸にされちまうよ、何とかしないと」
「おしゃべりしない!」
バシッ!
「わあごめんなさい!」
「た、大変ッスゥ!」
「騒がしいぞ!糸鋸刑事!」
「法廷で狩魔検事が暴れてるっス!ヤッパリくんが真っ裸に」
「成歩堂が真っ裸、だと?(一瞬想像して、顔を赤くする)」
「…御剣検事、どうしたっすか?」
「ム、何でもない。それよりどういう事か説明したまえ!」
「かくかくしかじかで…」
「(冥…どうも私の顔を見てから機嫌が悪いと思ったが、成歩堂に八つ当たりか?しかし真っ裸…成歩堂の肌を他の者たちにさらした状態を放ってはおけぬ…!)刑事!車を出したまえ!」
「了解ッスーサイレン鳴らして全速でぶっ飛ばすッスよー!」
「…法定速度は守っていい」
(弁護側控室)
バタン
「成歩堂!無事か!?」
「うわっ、み、御剣?どうしたんだ突然」
「どうしたもこうしたも無い。君が冥に裸にされていると聞い…たのだが?」
「いやいや流石に鞭で全裸になるまで切り裂かれるってありえないから(呆れ)」
「そうか…しかし一張羅がボロボロのようだな」
「イトノコギリ刑事め…大げさなことを…来月の給与査定を楽しみにしておくことだ…。ときに成歩堂、今日はこれで終わりか?」
「うん。審理は明日以降に持ち越しになったから」
「では事務所まで送っていこう。その格好で外を歩くわけにもいかないだろう」
「…いいの?」
「もちろんだ。何か懸案でもあるのかね?」
「ううん、僕は嬉しいけど」
「(可愛いことを言うではないか)…けど?」
「(チラっと視線を向けて)御剣は、大丈夫?その、この前電話ではツライって言ってたけど」
「(そ、そうだった!いやしかし、今ここで断るなんてことは)ム、問題ない!」
「いくらつらいと言えども君の苦境を黙って見過ごせるほど情の薄い男ではないのだよっ」
「何だ、平気なんだ」
「へ、平気というわけでも、ないのだが…努力する」
「(努力で何とかなるなら苦労しないんだろおまえは…)いいよ、御剣。僕やっぱり電車で帰るから」
「ぬぉぉ、なぜそうなるのだ!君は、君は私を捨てるつもりなのか?」
「…捨てられるのは、僕の方だろ」
「そんな筈が無かろう!例え君が嫌がっても、手錠で繋ぎ監禁して私しか君に触れられぬ様にしたいという本音をいつでも抑えているというのにっ」
「…え?(ちょっと怖いんですケド)」
「とりあえず落ち着けよ。そんなことしなくても僕は逃げないから(逃げたら絶対怖い顔で追いかけてくるだろうし)」
「む…むう、少し興奮してしまったのだよ…」
「じゃ、事務所の前まで送ってよ。ね?」
「りょ、了解した」
(あたし、忘れられてるよね…)
「え!や、やだなぁ真宵ちゃん忘れるはずないじゃん(忘れてたけど)」
「そ、その通りなのだよ!(完全に忘れていたが)」
「うーん、お邪魔だったらあたし、かえろっか?」
「いや!それには及ばない。一緒に送って行こう(二人きりになったら理性が持たぬ)」
「…いいの?ナルホドくん」
「うん」
「ありがと。あ、ところで検事」
「何だろうか」
「なるほどくんとつきあってたんですね」
「っ!」
「まあ、アヤシイとは思ってましたけど…。でもあたし負けませんから」
「何?」
「略奪します!御剣検事からなるほどくんを!(キリッ)」
「な…っ、何言ってんだよ」
「だってー、御剣検事ずるいんだもん!なるほどくん独り占めして」
「ちょっと、真宵ちゃん?何言ってるかわかってる?」
「あたりまえだよ。んもう、なるほどくんてば鈍いにもほどがあるよ…。狩魔検事だって報われないし」
「狩魔検事?なんのこと?」
「(何だと!冥までも、か)」
「でも狩魔検事が言うには、あたしたちにもまだチャンスがあるって…まだ『できてない』に違いないからって」
「まっ、真宵ちゃん!」
「いざとなったらお姉ちゃん霊媒して巨乳アタックで落としますから!正々堂々と行きましょう検事!」
(霊媒のどこが正々堂々なのだ!)
「できてない?残念だが既に成歩堂とは付き合って3年の仲なのだよ」
「それは知ってますけど…狩魔検事が言うには最後までは行ってないって」
「わぁぁ!ちょ、ちょっと真宵ちゃんホント意味分かってる、それ?」
「え?うーん、そういえば最後ってどこなんだろうね?ナルホド君知ってる?」
「当然結婚に決まっているだろう、真宵くん」
「「結婚!?」」

「日本で同性婚が認められてないことくらい、法律の素人のあたしでも知ってますよ?」
「(法律事務所の助手としてそれはどうなのだ…)何も紙一枚提出することだけが結婚ではない。愛を誓い合えば良い」
「異議あり!よ、御剣怜侍!法律的に根拠のない関係性など無いも同然。そもそも…あなた、分かっていて誤魔化したわね?」
「(蒸し返そうとする割に目元が赤い。その程度で照れるなどまだまだ、だな。冥)なんのことかわからぬが…いずれにせよ、私はいずれ成歩堂とは籍を入れるつもりだ」
「あのぅ…」
「同性婚が認められている国に移住しても良い」
「もしもし?」
「馬鹿が馬鹿な知恵をフル回転させているようね」
「ちょっと、聞い」
「それに我々はくちづけは済ませている!『できていない』という表現は正確ではない」
「ちょっとおお!」
「んっ?何だ成歩堂」
「あ、あのさ。お前らここ裁判所だって忘れてない?(控室とはいえ、ここまで騒がしいと廊下で皆伺ってる気配するんだけど)」
「あぁ、なるほど。流石だな、成歩堂!では法廷の基本に則って証拠を提示してやろうではないか!」
「え、そういう意味じゃ――」
成歩堂をぐぃっと引き寄せて――
ビシッ!
「ぬおお!」
「不潔よ、御剣怜侍!」
「そうですよ、神聖な裁判所で何してるんですか!」
「神聖な裁判所こそ、検事と弁護士である我々が誓いを立てるのにふさわしいではないか!」
「ああもうっ、馬鹿御剣!おまえなんか一生童貞でいろ!僕は知らない!」
(逃亡)
「あ、なるほどくん!」
「どこへ行く、成歩堂ッ」
「待ちなさい成歩堂龍一!」
声を振り切って成歩堂は電車で事務所へと戻った。


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