TEXT2 (NL)

□Twitterで妄想
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八門さんへ捧げるSS




「あら、この男は誰……?」

訝しげな冥の声に振り返れば、郵便受に投げ込まれた大量のダイレクトメールと少量の僕宛の手紙を手にした彼女が首をかしげていた。
後ろから覗き込むようにして確認すれば、視線の先にあるのは一枚のはがきだった。裏面が写真をプリントアウトしたものに書き込みされていて、内容は「イケメンすぎてごめんなさい」とたどたどしい手跡でつづられている。
子供が頑張って書いたみたいな文字だなぁと思う。

「誰から?」

本人だったら苦笑いだなと声をかけると冥が反応してはがきを裏返した。
こちらは綺麗な筆記体の英字で書かれた住所。差出人はクローネだった。

「クローネさん?いったい何の意図で……」

あの元検察士が元検察士長に惚れているというのは遊びに行ったときにも思ったとことだが。
ついに付き合いだして、ノロケでも送ってきたのだろうか。それとも、天然?あるいは、ジーケンをからかうネタなのか。
いずれにしてもどうして検察士の衣装なんだろうとか、どうしてジーケンさんの写真なのかとか、そもそもどうしていきなりこんなわけのわからないはがきを送ってきたのかとか、疑問はつきなくて。
面白いけど厄介な人だなと笑っていると、放置されていた形になっていた冥が「それで?このヒトは誰なのかしら?」と小さく唇を尖らせて呟く。
そうか、そういえば冥はあったことがないんだっけ。

「ほら、前にいったろ?僕が弁護士協会の出張で海外に行った時の話」
「そういえばそんなことも言っていたわね。アナタってホント、トラブル体質ね」

どこかで聞いたような言葉にそうかなぁと後頭部を掻く。
僕がトラブル体質っていうよりみんながそうなんだと思うんだけど。
どちらも自覚がないだけなのかもしれないけどと冷静に分析しつつ、とちらかといえば僕は巻き込まれる方が多いけどね、と往生際悪く付け加えた。

「その時に出会った人なんだけどね。写真はその時の衣装だね。最近着る機会でもあって撮ったのかな、あの"世界"では写真はなかったはずだし。で、送ってくれた人は事件の中心にいた一人」

懐かしい服装だが、現代の日本の世界観で見れば完全にコスプレだった。
僕自身もどういう意図なのかよくわかっていないけど、あの世界を知らない冥にはきっとものすごく奇異に映っていることだろう。

「名誉のために言っておくけど、彼のこの服はね――」

作られた世界のものなんだ、と言い訳のような説明をしようとした僕は、その前に呟いた冥の一言でピシリと固まった。

「素敵じゃないの。いいセンスだわ」
「……え?」

一瞬耳を疑った。
が、納得もする。

そういえば、御剣も違和感無かったもんなぁ。
狩魔の人間ならば、服装的な意味ではギャップがないのかもしれない。
冥もあの世界の服装似合いそうだしなぁ。そうそう、たとえば――

「ジョドーラ様とかぴったりかも」

あの世界の武器ではないけど、鞭とかもったら…って、いやだめだ。
完全に、女王様だよねぇ

バシィ
「イテェッ」
「不埒なことを考えていたでしょう?」

なんでわかるんだよ!
反論したら肯定すると同義だから言わないけどさ。

「ふん、どうせ全部忘れて真宵と楽しくやってたんでしょ。それとも別の女性かしらね」

後ろから手元を覗き込むようにしていたから、首をそらして斜め下から睨むように見つめてくる。
その頬は普段の白さからほんのりと赤く上気している。その色づきの原因が嫉妬だと認識すればその視線の強さも僕を喜ばすものにしか成りえなかった。

わずかにあいていた隙間を詰めて、後ろから抱きよせる。
驚いたように見開かれた目を至近距離に見返しながら、顔を伏せた。
見上げる冥の顔と合わせるように……
ちう、と小さな音がして、唇に温かさが触れる。

「不埒なことを考えるなら、相手は冥しかいないからさ。あの世界ではすごく真面目でしたよ、僕は」

にやりと不敵に微笑んで見せれば、冥は顔を赤くして睨んできた。
涙目で睨まれてもかわいいだけなんだけどね。



Fin.





色々やってみたくて「リプくださった方のアイコン絵で妄想した短文を書く!」というツイートに反応いただいた、八門さんへ贈るSSです。
素敵なイケメンなジーケンさんアイコンからのナルメイで、意味不明な展開になってしまいましてすみません^^;

書かせていただいて楽しかったです、有難うございました!

2013/10/21




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