さくらと空の夢
□君だけの声
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君だけの声
「…小狼くん、私とお付き合いして下さい」
「……俺は、君とはいえ付き合えない。」
「……どうして…?」
「…大切なやつがいるから」
「李くん、藍山さんの告白断ったんだって…」
「…うそっ、藍山さんの?!」
「学校1の美人さんじゃーん…」
小狼の周りでは女の子達がひそひそと話をしていた。
中学2年生になってクラス替えがあり、小狼はさくらと知世等と別々のクラスになってしまった。
「…李、大丈夫か?」
「…あぁ、彰穂か」
窓際の小狼の机に、2年生になって同じクラスになった新城彰穂(シンジョウ アキホ)が立っていた。
女子達の会話を聞いて、小狼の元に来たのだった。
「女子はすぐこれだから…」
「まぁまぁ、あんまり気落ちするなよ」
ため息をつく小狼に彰穂は笑った。
クラスが別々になり、落ち込み+この妙な苛立ちを抑えきれずにいた。
「…ま、彼女さんに慰めてもらいな」
「…言うな」
彰穂は小さな声で小狼に耳打ちした。
小狼は途端に不機嫌そうに彰穂に言った。
「…誰かに言ってないだろうな」
「言わへん言わへん!オレとお前は゛ともだち゛なんだからな」
大阪弁が若干混じったしゃべり方の彰穂は小狼に弁解した。
小狼はそのままそっぽを向いた。