さくらと星の夢

□狼さんは飲酒禁止
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小狼の眠るソファに肘を付いてその顔を見つめる。
自然と上がる口許から愛しさが込み上げた。


「大好きだよ、小狼くん…」


小さな声で囁いてその頬に口付ける。





「…そういう事はおれが起きてる時に言って欲しいな」

「えっ…!」



突然聞こえた声にさくらが慌てて身体を起こすと、しっかりと開いた茶色の瞳と目が合った。


「しゃ、小狼くん!寝てたんじゃないの…?」

「寝てたよ」

「で、でもだって…っ」


さくらは顔を真っ赤に染めたままあたふたと慌てる。
そんな様子を楽しそうに見つめながら、小狼はその身体を引き寄せた。


「わ…っ」


胸に顔を埋めるような形になって、さくらは小狼のシャツをぎゅっと握った。


「普段は恥ずかしがって全然言ってくれないのにな」

「う…小狼くんまだ酔ってる」


からかうような口振りに、さくらはそれをお酒のせいにする。


「…そうだな、まだ酔ってるな」

「うん、酔ってる」

「じゃあ…」


そういって小狼は身体を起こすと、そのままさくらをソファの上に座らせて耳元に唇を寄せた。


「…酔ってる時にしか出来ない事をしようか」

「ほぇ…」


低く響いた小狼の声に、さくらの身体がピクッと震える。

耳に掛かる吐息が熱を持ってすぐに唇が押し当てられた。


「ん…っ」


小さな水音がなってさくらの身体が押し倒される。
重ねられた唇からは、またお酒の匂いが少しした。


「しゃ、小狼くんちょっと待って…」


そう言って起き上がろうとするさくらを追いかけるように唇を塞いだ。


「んん…っ」


それでも逃げようとするさくらの腕をぐっと掴んで強引に舌を絡ませる。


「小…狼く…っ」


そして押し返そうとするさくらの腕から力が抜けた時、ようやく唇が離された。

呼吸を荒げながら恨めしそうに見上げるさくらを見て、小狼は悪戯っぽく笑みを浮かべる。

そしてさくらの頬に軽く口付けると、楽しそうに続けた。


「我慢が出来ないのは酒のせいだから、仕方ないな」

「………え」


小狼の言葉に、さくらは思わず凍りつく。
さっきあんなに無防備な寝顔を見せていた人物とは思えない程悪戯な笑顔が今自分を見下ろしている。


「ちょっと待っ…」


さくらの言葉は最後まで続かなかった。
次に重ねられた唇に、さくらは諦めたように瞳を閉じる。


そして背中に腕を回しながら、小狼をこんな風に酔わせたお酒を少し恨んだ…―――――――。









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