さくらと星の夢

□狼注意報
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「今度はこれ…」


小狼はそう言って、さくらの手を自分のシャツのボタンに掛けた。
その瞬間、さくらの身体がピクリと震える。


「…は、外すの?」


なんとなく分かってはいたものの、さくらは確認するように、小狼に問い掛けた。
すると小狼は「あぁ」と短く答えて、先を促す。


「……………」


さくらは黙って、ボタンを一つ一つ外し始めた。
ドクン、ドクンと、心臓が早鐘のように鳴り響くのを感じながら、さくらはゆっくりと手を進めていく。
その緊張は小狼にも伝わって、自分がさせたことながら、どうしようもなく恥ずかしい気持ちでいっぱいになってしまった。
けれど、それを表には出さないようにと、小狼は神経を集中させる。

そして最後のボタンを外し終えると、さくらは様子を伺うように、小狼を見上げた。


「あ…あの、小狼くん?」

「あぁ、ありがとう」


小狼は一言お礼を言うと、シャツに手を掛けて、ハラリと脱ぎ捨てる。
その姿に、さくらは思わず頬を染めた。
何度か見ているとは言っても、いつまでも慣れないことにさくらは少し困った表情を浮かべる。




「さてと、そろそろ風呂でも入って寝るか」

「ほぇ??」


突然の小狼の言葉に、さくらは顔を上げた。


「どうした?」


さくらの考えていたこと全てを分かっていながら、小狼はさくらに問い掛ける。
一方さくらは、これから起きることを身体で感じていた分、小狼の行動に呆気に取られてしまった。
そして、先ほど一気に上がった全身の熱を必死に抑えながら、ふるふると首を振る。


「な…なんでもないよ」

「………………」


小狼は笑いながら答えるさくらの腕を掴んで引き寄せると、自分の胸の中へと収めた。
触れた肌から直に体温が伝わって、さくらは眼を伏せる。



「…ごめん、ちょっとからかい過ぎたな」

「え…?」


小狼はさくらの頭を優しく撫でながら、続ける。


「おまえがあんまり素直な反応するから、つい…」


ここでやっと自分がからかわれていたことに気付いて、さくらはまた頬を膨らませた。
その頬に小狼は軽く口付けて、抱きしめる腕に力を込める。



「けど…」



言葉を切った小狼は苦笑いを浮かべて、


「いつの間にかおれも、本気になってたんだけどな」

「小狼くん…」


さくらが小狼の顔を見上げた時、その瞳には既に熱が籠っていて、それに吸い寄せられるように、お互いの唇を重ねた……―――。


「泊まっていくだろ、今日」

「…うん」







始まりは小さな好奇心。
いつしかそれは、本気に変わって、君を求める……―――――。






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