さくらと虹の夢
□未来に咲く花
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「おはよ、さくらちゃん」
「み、瑞稀くん…。おはよう」
ぎこちないさくらの態度に、瑞稀は苦笑いを浮かべ、さくらの顔を覗き込んだ。
「気にしないで、って言ってるのに」
「瑞稀くん…」
「ね、それよりさくらちゃん」
と、瑞稀は徐に話題を変えた。
「今日の放課後時間ある?」
「ほぇ‥?どうして??」
さくらが首を傾げると、瑞稀はふわりと笑って、
「もし時間があれば、放課後屋上に来てくれないかな?」
「屋上?」
「そ、待ってるからね」
そう言って、瑞稀はパチンとウィンクを見せると、席を立った。
それと入れ替わりに、小狼がさくらの肩を叩く。
「小狼くん」
さくらは不安げに小狼を見上げた。
その表情に小狼も眉を寄せる。
「どうした?何か言われたのか?」
「…ううん、何も」
さくらは反射的にそう答えた。
昨日、一度は小狼に相談しようと決意はしたが、あんな風にタイミングを失ってしまうと、やっぱり言わない方がいいのではないかと思い直してしまっていた。
何より小狼に余計な心配を掛けることが、さくらにとっては一番嫌だった。
さくらはいつもの笑顔を見せると、
「おはよう、小狼くん」
と、挨拶したのだった。