さくらと虹の夢

□未来に咲く花
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「おはようっ!」

「おはようございます、さくらちゃん」

さくらは滑り込みで教室へ入り、知世と挨拶を交わした。

「なんとか間に合ったよぉ」
「さすがさくらちゃんですわ」

椅子にへたり込むさくらに、知世は瞳を輝かせたまま拍手を送る。


「おはよう」

さくらが呼吸を整えていると、後から声が聞こえて、さくらは笑顔で振り返った。

「おはよう、小狼くん」

それに応えて小狼も笑顔を見せると、ふとさくらの腕を見つめて眉を寄せた。

「さくら、ここどうした?」

「ほぇ?」

小狼の言葉に首を傾げながら、さくらは指差された肘を確認する。
そしてそこが擦り剥いて赤くなっていることに気づいて、さくらは暫く考えると、「あっ!」と声を上げた。

「そういえば朝男の子とぶつかっちゃって…」

「…転んだのか」

「ぅ、うん…」

小狼の呆れた声に、さくらは申し訳なさそうに答えた。
すると小狼は軽く溜息をついて手に持っていた鞄を探ると、そこから絆創膏を一枚取り出した。
差し出されたそれを見て、さくらが不思議そうに尋ねる。

「ほぇ?どうして絆創膏なんて持ってるの??」

さくらの問いかけに小狼は涼しげな顔で答えた。

「さくらは危なっかしいからな、こういう物を持っておいて損はない」


「はぅ〜…」

小狼の言葉にガックリと項垂れるさくらの様子を、知世は微笑ましげに見つめていた……――――。
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