さくらと星の夢
□狼さんは飲酒禁止
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主のいない部屋で一人帰りを待つのは、なんだか寂しい。
テレビが付いていないと、カチカチと時計が立てる規則的な音が妙に響く。
時刻は夜11時。
朝早く家を出たこの部屋の主は、未だ戻らないでいた。
「はぁ‥」
クッションを抱いたまま、何をするでもなくさくらはため息をつく。
夕方この部屋を訪れたさくらは、一人夕食を済ませ、ただひたすら主の帰りを待っていた。
「お仕事のパーティーだって言ってたから、しょうがないよね」
自分を納得させるように呟いた言葉は、顔を埋めたクッションの中へと消えていく。
別に、喧嘩をしたわけでもしばらく逢っていなかったわけでもない。
実際昨日も一緒に食事をしたし、さくらには何の不安もなかった。
それでも誰もいない静かな部屋でただ帰りを待つというのはどこか心細く感じる。
「まだかな‥」
さくらは時計を気にしながらソファへ横になると、うとうとしながらすぐにその瞼は閉じられた―――――――。