さくらと星の夢

□好きとはちみつ
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「大丈夫ですか?さくらちゃん」


知世は学校の玄関先で、さくらに問い掛けた。


「ぅん…、大丈夫‥」


返って来たのはさくらの力無い声で、その頬は赤く呼吸も少し乱れている。


「でも風邪引くなんて久しぶりだな…」

「本当にそうですわね‥」


そして、上履きを脱いで靴に履き変えようとした時、さくらの身体がふわりと揺れてバランスを崩した。


「さくらちゃんっ!」


知世が慌てて手を伸ばす。けれどさくらの身体は倒れる事はなく、知世より早く伸ばされたもう一つの手に掴まれた。


「ほぇ…?」

「大丈夫か、さくら」


さくらがゆっくり顔を上げると、そこには腕を掴んだまま、心配そうな表情を浮かべている小狼の姿があった。


「小狼くん…」

「家まで送って行くから」


そう言いながらさくらの身体を起こしてやると、その身体を支えて、靴を履かせた。


「…ありがとう」

「李くんがご一緒でしたらわたしも安心ですわ。さくらちゃんの事、お願いしますね」


知世がホッとしたように笑うと、小狼は「あぁ」と一言頷いた。


「知世ちゃん、ありがとね‥」

「いいえ、今日はテストで学校もお昼で終わりですし。ゆっくり休んでくださいね」


さくらの言葉に知世は優しい眼差しを向けた。


そして二人が玄関を出ようとした時、知世は小狼を呼び止めた。


「李くん」


足を止めた小狼に知世は駆け寄って、小さな声で一言。


「ケロちゃんの事はわたしに任せて、さくらちゃんを看病してあげてください」
「え?」


知世はそれ以上何も言わず、歩き出す。
そしてその手には携帯電話が握られていた。




「…小狼くん、どうしたの?」

「あ、あぁ悪い。じゃあ行くか」


さくらの言葉に小狼は頷いて、歩き始めた。
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