さくらと星の夢
□お菓子といたずら
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「ハロウィンパーティー!?」
教室で知世たちと話していたさくらは思わず声を上げた。
「えぇ、生徒会の方々が先生に提案されたそうですわ」
「一日だけ、好きな仮装して校内を回るんだよね」
初めての催し事に、千春も楽しそうに頷く。
「この日だけは、お菓子の持参も許可されてるそうよ」
利佳は相変わらず落ち着いた様子で答えた。
「楽しそうだねっ!」
千春たちの話を聞いたさくらはますます気持ちを高ぶらせて身を乗り出す。
知世はそんなさくらの様子を愛おしそうに見つめ、その手を取ると、キラキラと目を輝かせた。
「もちろんっ、さくらちゃんの衣装はわたしが作りますわ!」
「ほぇっ!?…う、うん、ありがとう」
さくらは呆気に取られたまま、半ば勢いで頷く。
「わたしは何着ようかなぁ」
奈緒子がおっとりと答えて、他の二人もうーん、と首を傾げた。
「実はもう、さくらちゃんにピッタリの衣装を考えてあるんです」
「そうなの?」
「えぇ、楽しみにしててくださいね」
嬉しそうに答える知世に、さくらもつられるように笑った。
「うんっ」
「おはようございます、さくらちゃん」
「あ、知世ちゃん!おはよう」
次の日、下駄箱で靴を履き替えていると、いつもに増してご機嫌な知世の声が聞こえて、さくらは不思議そうに首を傾げた。
「どうしたの?知世ちゃん、今日はなんだかご機嫌だね」
すると知世は満面の笑みを浮かべて、さくらの前に一つの大きな紙袋を差し出した。
「えぇ、昨日お話していた衣裳が出来上がったので、早速さくらちゃんに試着していただこうかと」
「えっ!もう出来たの!?」
目の前の紙袋を受け取りながら、さくらは驚いたように声を上げる。
「はい、多少手直しが必要になると思いますから少し早めに仕上げたんです」
「ほぇ??」
知世は含みのある笑みを浮かべながら、さくらを見つめた。
そしてさくらの耳元へ手を添えると、
「ハロウィンで着る前に、李くんにも見せて差し上げては?」
と、小さく耳打ちすると、その言葉にさくらは頬を真っ赤にして、やがてコクンと頷いた。
そんなさくらの様子に知世は満足気に頷くと、
「でもっ!その前に是非『さくらちゃんハロウィンの巻』を撮らせて下さいね!」
そう言って目をキラキラと輝かせる。
「はぅ〜‥」
紙袋を覗き込みながら、さくらは思わず苦笑いを浮かべた。