もしもの世界。

□君はあの人に似ている。
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マフィアパッショーネに入り、私はジョルノと同じ護衛チームとやらに配属になった。






ジョルノ……初流乃は私が愛した人と知らない女の子供



特に嫌な気は全くしない。


寧ろあの人の子っていうだけで愛おしさが身体中から溢れる






今は向かい合うようにお互いソファーに座り、午後のティータイムってやつをしている

お茶請けには私が100数十年前から作っているお菓子を焼いて出し、ジョルノはそれを美味しそうに食べて私に笑顔を向けてくれた。







その優しさはあの人そっくり。







その可愛い笑顔に心が満たされていると、ジョルノはまたふわりと笑う










「ふふっ…どうしたのマンマ?」









マンマ…実の母ではない私を彼はそう呼んでくれる。

とても嬉しくて涙が出そう。








「んー?特に何でもないけど……強いて言えばジョルノの事がとても愛おしいって思ってたの」





「…っ!!それは……嬉しいな…僕も同じです。マンマが愛おしい」









どちらからともなく伸ばした右手はお互いの左頬を優しく包む


私はあの人にそっくりな黄金色の髪の毛を弄って、ジョルノは私の親に嫌われた瞳のちょっと下をなぞる。




 
 






「マンマの瞳…僕大好きですよ?とても優しくて……僕を見つめてくれるだけで安心感と幸福感で胸がいっぱいになる」










目を細めて私の右手に擦り寄る可愛いジョルノ

私のこの瞳を好きだと言ってくれるなんて…本当にあの人達に似たわね。








「嬉しいわ…私のこの目……嫌う人が多かったの。"汚れた目"や"呪われた目"だなんて言ってくる」






「ソイツ等は眼が腐っているんじゃあないんですか?マンマの瞳はどんな人間の瞳よりもとても輝いて美しい宝石のようです」









うっとりとした眼差しで私を見つめるジョルノ

私も同じようにうっとりとジョルノを見つめる。




もっと近くでジョルノに触れたい…


そう思った時、ジョルノがソファーから腰をあげた。

するりと私の右手から彼の温もりが逃げてしまって名残惜しさを感じていれば、ジョルノはゆっくりとテーブルを回り私の隣へ腰を下ろした




てっきり何処かへ行ってしまうのかと思っていた私は目を数回瞬かせ、先程よりも近くなったジョルノの顔を見つめる



優しいあの人に似た瞳と視線が合えば、ジョルノはあの人そっくりに微笑んだ。









「マンマにもっと近くで触れたいなって思ったんです。」











彼の言葉に私は心底驚いた。




心を読まれたような驚き





そして、お互い思うことは同じだって事に対する驚き。
 




私はなんだか可笑しいなぁと思って笑みが溢れる。








血は繋がっていないのに






思うことは同じ。















「まるで恋人のようだわ…」






「恋人?…いきなりどうしたんです?」







「私もね…ジョルノにもっと近くで触れたいって思っていたの。」









微笑みながらそっとジョルノの柔らかい頬にチュッと小さなリップ音が出るキスを落とせば、ジョルノは頬と耳を紅く染めた

大人のような余裕を見せるけど、やっぱりウブよね




あの人にそっくりであの人にもそっくり。








「〜〜〜〜っ!!!!」






「ははっ、ジョルノ可愛い!!」






「も、もうっ…マンマのバカ!!!」









顔の紅さを隠すためか、私に抱き着いたジョルノは胸に顔を押し当てる


背中に回された腕も強くて、少し苦しいなぁと思った。




見下ろせばジョルノのくるんと少し癖のある金色の髪の毛が視界に映り、無意識に手が伸びてその髪の毛を撫でる。

彼の頭の形を確かめるように撫でれば、胸から視線だけを私に向けた。




その瞳がとても可愛い。


甘えるような…照れ臭そうなその瞳









「初流乃…」
 




日本語で彼の名を呼べば、ジョルノはピクリと反応し顔を胸から上げた。


腕だけはまだ背中に回って離れようとはしない。




なに?と首を傾げるジョルノ。


日本語なのだから他の皆には聞かれたくないのだろうと思っているようで、少し顔が強張っていた。



いや、他にも理由があるだろう……汐華の事を思い出したり等






だけど私はあんな女とは違うわ



あれはあの人の子を生むだけの母体…最悪食料でしかない女。






ジョルノの強張った顔にキスを何回も落とせば、その強張りは消え何時もの彼に戻った。










「初流乃、好きよ……私の…愛おしいあの人の子…」










日本語でそう言い、ジョルノを抱き締めれば

彼は私の首元に顔を埋めて



"僕も聖母のような貴女が好きですよ"



と日本語で呟いた。














因みに今は先程午後のティータイムって言ったぐらいだから、お昼な分けで……アジトの中には私とジョルノ以外、人が居る。





遠巻きで私達を見ていた誰かがガシャンと何かを割る音が聞こえた。









いい加減離れたらどうだ……?

(あら…どうしたのブローノ君?)
(ブチャラティ、バカラのコップ割らないでくださいよ。)
(ジョルノ…暫く仲睦まじい親子のやり取りだと思って見逃していたが、流石に我慢の限界だ……ルーイさんから離れるんだ)
(そうだぜジョルノ、俺のアバ茶を飲みたくなければルーイさんから離れr…)
(……レディ)
(マンマ!!?ちょ、待ってください!!アジトを荒らさな……うわぁぁあああ!?)




今日も護衛チームは平和です。




おまけ

 
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