君の事は必ず守るから。
□プロローグ
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私はその時、ゾルディック流花嫁修業と言われた暗殺者としての仕事を終わらせて家に帰ってきた…そんな時だった。
仕事が終わった事をマミーとダディに報告するためにマミーがいるであろう大広間へ向かっていた途中
「キャァァァァァアアアアアア!!!!!!??」
『え…マミー!!?マミー!!!!』
それは私の愛してやまないマミーの悲鳴。
"淑女は廊下で走ってはいけません。"とマミーとの約束を破って私は悲鳴がした方へと全力で走る。
走っている時にマミーに買って貰った黒のフリルがふんだんにあしらわれたドレスに苛立ちを覚えた。
なんて走りにくいんだ…。
だが、それはマミーからの贈り物…破ったりしてはイケない。
いつもは崩さない表情を歪ませてマミーのもとへと着いた。
『マミー!!!!!マミー!!!!』
顔から血を流し、ヒステリックに叫ぶマミーに私は更に顔を歪める。
どうしてマミーが…こんな…
誰がマミーをこんな姿にしたのか、私はマミーに近付き止血をしながら辺りを見渡す。
すると私が入ってきた扉ではないもうひとつの扉の前にカルトが立っていて私は事情を聞こうと口を開けようとした
「あぁあ…キル!!!!キルを止めて誰かぁあ!!!!キルゥゥウウウウウ!!!!!!!」
だが、カルトに聞く前にマミーがキルと叫んで私は段々状況が掴めて立ち上がりカルトに近付く。
『カルト、貴方はマミーの傍にいてあげなさい。』
「クレハ……姉様」
振り返ったカルトの表情に私は胸が痛くなった。
どうすればいいのか…キルアを追い掛けるべきなのか、それともマミーの傍に居れば良いのか分からないといった表情。
あぁ…落ち着け私。
このままじゃ、私はゾルディック家の大切な跡継ぎであるキルアを殺してしまう。
唇を噛み締めて目の前のカルトの頭を撫で、キルアが出ていったであろう扉に手をかける
……が
「クレハ」
『……ダディ?』
底冷えするような声で、ダディは私を止める。
どうして?
キルはマミーを傷付けたのよ?
私は眉間に皺を寄せてダディをを見るが、無言で睨まれる。
『分かった…追い掛けない。追い掛けないから、そこで倒れているミルキに止血させて。』
握り締めた拳から血が流れているのにカルトが泣きそうな目で見ているのが分かる。
『大丈夫よカルト、もう大丈夫。落ち着いたから』
流れ出る掌の血を一瞥してカルトに笑顔を向けてから私はミルキのもとへ歩いて向かった。
カツン……カツン
冷たく響く音で冷静さを少しずつ取り戻し視界に入った倒れているミルキに近付く。
『ミルキ、大丈夫?』
「キルめぇ…!!!!許さねぇ!!!!!」
『うん、俺も許さない。キルは少し反省するべきだよ』
「おい、"俺"になってんぞ…ママに怒られるぜ」
『あらいけない。無意識だったの、止血してやるから言わないでよミルキ』
ふぅ…と溜め息を吐きながらミルキを持ち上げて壁に寄り掛からせて念を送り最低限の処置を済ませる。
「まぁ、言うつもりはねぇよ。それよりママはどうなった?」
『ミルキと同じ最低限の止血を私がした。もう執事達が来てると思うし大丈夫だろ』
「…ママ達がいる場所につく前に口調直しておけよ、"地"が出てきてんぞ。」
ミルキに杭を打たれ、まだ冷静になっていないんだなと私は思った。
『…努力する』
ポツリと小さく呟けば、ミルキに溜め息を吐かれ頭をガシガシ撫でられた。