テニスの王子様

□すれ違い
1ページ/5ページ

「でねー大石ってばさあ…」
「…ふふ、英二、昔よりさらに大石の話ばっかりするようになったよね。」
ここは青春台にある行きつけの喫茶店。
いまだによく遊ぶ不二は大学に行きながらカメラマンを目指している。
写真を撮るときに影響あるのか髪の毛を結ぶようになって、昔よりさらに大人っぽさと色気が増した。
ちょっとくらいわけてくれてもいいのに。
そんな俺も大学に通いながら芸能事務所に入り、アイドルを目指してる。
20歳になってからは不二は手塚と、俺は大石と同棲していて、お互いの近況をこうして語り合う。
「俺たちの話できる人なんて限られてんだからそりゃそーなるじゃん!
別に俺は不二も手塚の話もっとしてくれてもいーけど?」
伺うように言うと不二は昔と変わらない笑みを浮かべる。
「…ありがと、じゃあ僕もバカみたいに手塚の話しなきゃね。」
「でた!ひっで〜!」
性格はぜんっぜん変わる気配ナシ。
てかもしかして悪化した?
ま、反応がみたいだけでほんとはめちゃめちゃ優しいの俺は知ってるけどねん。
俺が若干ニヤニヤしながら不二を見ると、不二が少しハッとしたように自分の腕時計を見る。
「あれ、長居しすぎたね。そろそろ帰らないと。」
「ん〜?…本当じゃん!」
不二に言われて店内の時計を探すと、もう針は9時過ぎを指している。
「英二も今日普通に家のこと色々あるよね。さっさと退散しようか。」
「もちもち、不二もっしょ?」
俺たちは急いで別れの挨拶と次の約束
をしてそれぞれの自宅へ向かった。
「たっだいまー誰もいないけど!」
家に着いた俺は遅めの夜ご飯を軽く食べる。
今日は大石ちょっと遅いって言ってたから家事頑張ろっと。
仕事柄普通でも夜10時とかは過ぎちゃうから、ちょっと遅いって言ってる時は日にちが変わるくらい遅い。
だから夜ご飯もあっちでぱぱっと食べてるらしい。
ほんとは普段もあっちで食べた方が時間的にはいんだろうけど、俺が作ってるってときは大石は絶対に家で食べてくれる。
大石優しすぎるとこあるから、無理しなくていいよって言ったら
「英二が作ってくれたご飯食べた方が力が出て仕事が頑張れる」
とかいって。
最初はそんな歯が浮くようなセリフいってもなんもでねーって軽く叩こうかと思ったけど、自分で言って恥ずかしそうにしてる大石見て、喜ばせるために言ってるんじゃなくて本当にそう思ってるんだって伝わってすっごい俺が恥ずかしくなった
とか言ってすでにちょっと寂しい…。
大石の仕事はどんどん忙しくなってきて最近遅く帰って来る事が多くなってる。一人で晩ご飯食べなきゃいけないし…。でも…
「大石を支えて行かにゃいと!」
ご飯食べたらまずは家事からっ!
家に着いた俺は3時間くらい家事をしてすっきりした気分でテレビを見ていた。
「ただいま…。」
「ホイホーイ!おかえりにゃさーい!」「先お風呂入っていいかな…。」
「え……あ、うん…。」
大石…ものすごい疲れてるみたい…。
とりあえず大石がお風呂から出るのを待つしかないにゃ…。
しばらくしたら大石がお風呂から出てきた。
大石にしては長いかも…。やっぱ疲れてる…。
「そういえば英二、明日久しぶりに1日休みになったよ。」
「えっ?本当!?」
…大石……大石と久しぶりに1日過ごせる!
「……ん…今日はもう遅いから先寝てるね…。」
「…うん……おやすみ!」
疲れてるんだし今日はいっぱい寝てもらえばいっか!
何ヶ月ぶりだろーな…1日休みなんて…。
んっ〜…楽しみ!
俺も早く寝よ!
〜翌日〜
「…ん……ん〜…眠いー……。」
結構ぐっすり寝ちゃったみたいで俺が起きた時にはもう12時だった。
あれっ、珍しい…大石まだ寝てるじゃん。
俺は隣で反対側を向いて寝ている大石の顔を覗きこんだ。
「おーいし〜?」
………そういえば1ヶ月もご無沙汰だ…。
でも恥ずくてそんなん言えないにゃ…。
…いや…大石も同じ気持ちなはず!
「おーいしー!」
「……ん…英二…?」
「もう12時だー!起きろー!」
「ごめん…もうちょっと寝させて……。」
にゃっ…にゃんだと!
久しぶりの休日を恋人と過ごそうとは思わないのか!
最終手段……!
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ