ブラッディエンジェルパロ

□偶然と、必然
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三成と穏やかな朝食の時間を過ごしていた家康だが、賑やかに鳴る携帯の着信音に、はっと我に帰る。
ディスプレイを見れば、そこには長曾我部元親、と表示されていた。
そういえば…、元親と約束をしていたな、と、昨日の昼のことをを思い出す。
三成のことがあり、そんなことはすっかり忘れていた。
しかし約束は、昼食を作りに来る、という約束だったはず、と携帯のデジタル時計を見れば、もう10時を回っていた。

「やばいっ!!」

急いで携帯を手に取り、通話ボタンを押す。

「もしもし?」
「おう、家康か?今からそっち行くけどいいかぁ?」

家康は三成の方をちらりと見る。
三成は分かっている、と言うように、こくんと頷いた。

「あぁ、大丈夫だ。」
「分かった。今から行くよ。」

じゃあな、と音声は途絶え、プープーと電子音だけが耳に響いた。
家康は三成に確認を取ろうと、詰め寄った。

「三成、悪いんだが…。」
「聞こえていた。友が来るのだろう?私は何もしないから安心しろ。」

随分と物分かりのいい返事に少しだけ拍子抜けするが、今はとても有難い。
三成が寝ていたソファーのブランケットや朝食の残骸を急いで片付け、ついでに軽く掃除もしておいた。
元親は中学来の友人で、高校も同じである。
器の大きい元親と、明るい家康は気が合い、よく行動を共にするようになった。
ふたりの間の約束事は、『隠し事をしない』ということだった。
その元親でさえ、きっと説明しても理解してはくれないだろう。
家康自身ですら、いまだ信じられずにいるのだから。
元親の家は近所なので、歩いても10分とかからない。
そのため、家康はたかが掃除で汗だくにならなければいけないのだ。


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