千本桜

□〜ドリランド物語〜
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「……というお話…」


紙飛行機を飛ばしてシロマは言った


「この話、私好きなの…まるで、昔の私みたいだから……」


「昔の…姫、ですか?」


窓側を向いたままこくりと頷く


「昔、好きな人がいたの…名前は知らない…知らくてもよかった…」


シロマは紙飛行機を一つ、また一つと飛ばして話した


「でもね?その人は知らない人に罪を被せられて…殺されたの…」


シロマの手が止まり
声がワントーン下がった


「私が姫になったのはその頃…その頃から、憎しみの心が消えなかった…いや、消えなくなった」


「…姫……」


「私はそいつを倒そうと殺そうと何度も何度も思った!!」


シロマは手紙を引きちぎったり床にこぼしたり…


「姫!おやめ下さい!!」


ウォーレンスはシロマを抑えた


「私は、私は…うぅ……」


床にペタリと座り込み泣き出した


「姫…もういいです…」


「うぅ…うわあぁぁ…!!!」


ウォーレンスは姫をそっと抱きしめた

シロマも暖かい胸の中に顔を寄せた



「大丈夫…大丈夫ですから…」


「…ウォーレンスぅ……」





…泣き崩れた…その後の記憶がないーーーー



「スー…スー……」


「…全く、可愛い寝顔ですね…襲いたくなってしまいます…」


ウォーレンスは寝てしまったシロマを抱えて寝室に入った


「お休みなさいませ…」


「…ぅ…うぅん…」


グイッ


「う、うわぁ!!!」


寝室から出ようとしてたウォーレンスの裾を思いきり引っ張った

シロマは寝ぼけているから気がついていないが、裾を引っ張って手繰り寄せたせいで、どうみてもウォーレンスが襲おうとしているようにしか見えない


「ひ、姫っ!放して下さいっ!!」


「うぅ…ん…」


どう見ても寝ぼけている…


「ウォーレンス…」


「は、はい?」


チュッ…


「…な、なっ!!!////」


ウォーレンスはいきなりキスされて混乱しかけていた


「ウォーレンスぅ…大好き…だょ…?」


寝言なのに可愛い笑顔で自分の事が好きと言われた

その後はすぐに放してくれたが、走って自分の寝室に戻ったが眠れなかった


「…っ…姫…はっきりと言わないで下さいよ…/////」



羽毛布団に顔をうずくめて赤らんだ顔を隠して寝たーーー


「……ス?…ウォーレンスぅ?」


「…ん…うぅん…?」


パチッと目を開いたウォーレンスの視界に入ったのはシロマの不思議そうな顔


「えっ…ちょ、ひっ姫!!?」


「起こしにこなかったから…大丈夫?」


「だ、大丈夫じゃありません…!!///」


「…え?なんで???」


目を逸らしたウォーレンスにどう接していいのか分からないシロマ




ですが、こうなった原因は“あなた”ですからね!!
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