千本桜
□春
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まだその光景を誰も見たことが無い、
白哉は、恋次とルキアに幸せになってもらいたいから、二人を呼んだ。
「朽木隊長、その千本桜というのは、何処に咲いてるんですか?」
「…誰も見たことが無い場所に咲いてる。」
白哉も、詳しくは知らない。だが、心当たりのある場所ならあった。
それは、かなり昔の事ーーー
亡き妻、緋真と見に行った事がある。
その時は、桜の花が、まだ少しだけしか咲いていなかった。
「…また、今年も咲かなかったですね……」
「…そうだな」
緋真は、少し切ない表情をうかべたが、すぐに明るくなり、
「来年こそは、咲きますよね!」
そう言っていた。
白哉も、少しだけ優しく笑みをうかべて笑っていた。
それが、緋真と見られる最後の“千本桜”だとは知らずに………
…そう、その時に緋真と見に行った桜
それが“千本桜”だ。
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