ロイジニ30題

□01-出逢い
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「転校生? 学校に?」

春に差しかかった頃、学校で噂が広がり始めた。もうすぐ転校生がやって来る、しかもそれは、最近やって来たあのリフィル先生の弟だとか。

「どんな奴なんだろうな…」

俺は想像を膨らませる。先生の弟なら、きっと頭はいいだろう。何歳ぐらいだろうか。先生は多分20歳もないだろうから、まあ10歳ぐらいってとこかな。
そんなことを考えていると、先生が入ってきて、授業が始まった。

* * * *

「もう! 何度言っても分からないんだから!」
「…ごめんなさい…。」

放課後、俺は先生に怒られていた。

「授業中に寝過ぎなのよ、あなた。授業も聞かないで問題ができるわけないでしょう?」
「ま、まあ…そうだけど…。」

昨日の算数のテストで5点(100点満点)をとった上、今日の授業で寝ていたというので、職員室に呼び出されたのだ。

「今日は私の家に来なさい。場所は分かるわね?」
「え、ええっ!? 先生の家に!?」
「ええ。私が直接教えて差し上げます。」

それだけは勘弁だった。学校だけでも辛いのに、そんなの…。

「え、えーっと…。今日は親父の手伝いが…。」
「あら、お父様にはもう話をつけていてよ。」
「ええっ!?」
「あなたがきっとそう言うと思ってね。『もし先生にご迷惑でなければ、夜まで戻さんでもええわい』とおっしゃていたわ。」
「そ、それで先生は?」
「迷惑どころか嬉しいです、って言っておきました。」
「そ、そんなぁ…。」

まさかそこまで手を回しているとは。

「私はもう少し学校の仕事があるから、先に家に行っておいてちょうだい。弟がいるけど気にしないで。」
「あ、それって明日来るっていう転校生の…。」
「あら、知ってたの? …って話を逸らさないの。いいわね?」
「う…。はーい…。」
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