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□罰ゲーム
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昼過ぎの船内。
依頼に出かけなかったメンバー達は、それぞれのんびりと休んでいた。
マオとカイウスも、今日は依頼を受けずに自室でルカ、スパーダと4人でトランプをして遊んでいる。
「よし、また勝ったぜ!」
スパーダは3連続で大富豪になって喜んでいる。一方のルカはまた自分が罰ゲームになるのではないかと怯えていた。
彼はつい先ほど、『イリアに愛の告白』という罰ゲームをさせられ、散々毒舌を浴びせられて帰ってきたのだ。
「う〜、今回こそは勝たなきゃ…。」
「んじゃ富豪はもらうネ♪」
マオが富豪となり、残りはカイウスとマオだけだ。
だがカイウスも運が悪かったようで、残りは7枚。ルカは5枚だった。
「くそ〜、このままだとまずいかもな…。」
カイウスはとりあえず7を出す。ルカは9。次にカイウスがKを出すと、何とルカはAを持っていた。
「あれ? まだそんなの持ってたのかよ!」
驚くカイウス。ルカはへへっと笑って、次にQを出す。
(確か、もうK以上は出尽くしてるはず…。)
今回こそは勝とうと、強いカードが出た枚数を数えていたルカ。
予想通り、カイウスは何も出せなかった。
「やったあ! じゃあ上がり!」
4を2枚出し、ルカの貧民、カイウスの大貧民が決まった。
「うわ〜、マジかよ…。」
「でひゃひゃ、罰ゲームだ!」
大富豪のスパーダに命令権はある。どんな命令が来るか…と身構えるカイウスに、スパーダが発した言葉は…
「んじゃ、マオとのラブラブ話でも聞かせてもらおうか!」
…
…
「「ええ〜〜ッ!!」」
同時に叫ぶカイウスとマオ。だって、
「なんでスパーダが知ってるんだよ!」
「あ、ビンゴだったのか? 薄々勘付いてたからさ、カマかけてみた。」
得意げに話すスパーダ。カイウスとマオはどんどん顔が青ざめていく。
「そんなの…そんなのアリかよ、くそ…。」
「なんで気づいたの? ボクらのこと…。」
マオが問いかける。
「それぐらい、普段のお前ら見てりゃ分かるって。他にもシェリアとかリアラとかは勘づいてるっぽいぜ。」
「そ、そんなあ…。」
2人は隠してきたつもりだった。けれど、隠し切れてはいなかったようだ。
「それ、僕もスパーダから聞かされて、驚いちゃったよ。でも、本当だったんだね…。」
ルカにも言われ、ガックリとうなだれる2人。
「やっぱり…気持ち悪い? こういうの。」
「いや、そんなこと全然思わないよ? 正直うらやましいぐらい…。」
「そうそう、そんなのいちいち気にしてたら、こんな異種族たっぷりの船で暮らしていけねーよ。」
不安げに問うマオに、ルカとスパーダは言った。その言葉は2人に確かな安堵を与える。
「ありがと、2人とも。」
カイウスが言うと、2人はニッコリと笑った。
「んじゃ、ラブラブ話を聞かせてくれませんか〜、カイウス君〜。」
「で、でもそんなのボクも恥ずかしいヨ!」
マオも抵抗したが、罰ゲームで決まったことは仕方がない。
「…何から、話せばいいんだ?」
「んじゃ、初エッチのことでも…。」
「「そんなのしてないよ(ヨ)!!」」
また同時に言う2人。
「またまた〜、とぼけんなよ〜。部屋まで同じにしてもらって、そりゃねーだろ?」
「それは…その、えっと…。」
言い淀むカイウス。
「それは?」
ルカも先を促す。カイウスは恥ずかしかったが、言った。
「キスとか…したいじゃん。」
マオも含め、2人とも顔は真っ赤だ。スパーダはヒュー♪と口笛を吹く。
「じゃ、ここで1回してもらおうか!」
「「えええ〜っ!?」」
そんなのムリだ、ふざけんなよ! と2人は(当然のごとく)嫌がる。
さすがのルカも、「スパーダ、それはちょっと…。」と言った。
「ダメダメ、罰ゲームだ! さ、早く早く。」
ひっでえ…と呟くカイウス。
「カイウス、…どうする?」
「…やるしか、ないだろ…。」
座ったまま近づく2人。見守るスパーダとルカ。そして…
本当に一瞬、触れ合うだけのキスをした。
「ヒュー♪」
また口笛を吹くスパーダ。ルカは顔が真っ赤だ。もちろんカイウスとマオもだが…。
「さ、次やるぞ、次!!」
カイウスとマオの思考は、『スパーダを大貧民に』で一致していた。
その甲斐あってかスパーダは見事に都落ちし、哀れにもコハクの足を触らせられ、気絶することとなる。
→後書き