その他テイルズ小説

□昼下がり、甲板
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午後の温かい日差しの下、カイウスとマオは、のんびりと甲板で横になっていた。

「いい天気だネ〜。」

マオが言った。そうだな、と同意するカイウス。

「セルシウス、どこ行ったんだろうな。いつもここにいるのに。」

いつもはここにいるはずのセルシウスがいないのだ。カイウスはそれを不思議に思ってマオに聞いた。

「さあ? ちょっと暑いから避難したのかもネ。」
「あー、そうかもな。」

クスクスと2人で笑いあう。

「ボクたちだけだネ、今ここにいるの。」
「…? マオ?」

変なことを言うなあ、とカイウスはマオの方を見た。すると、へへへと笑ってマオはカイウスに近づいてきた。

「今なら、イチャイチャできるじゃん。」

そう言ってギューッとカイウスに抱きつくマオ。カイウスは慌てて抵抗したが、マオは離れなかった。

「離せよっ、誰か来たら…。」
「大丈夫だって。昇降機動いたら分かるからさ。」

確かに、昇降機の音は聞こえるだろうが…。
でも、何か落ち着かなかった。

「そういうの、部屋でやろうぜ。」
「ここでやることに意味あんの!」

マオはどうしてもこの状況にこだわるようだった。
青い空、甲板の上、2人で抱き合う。
最初は抵抗したカイウスも、段々とマオの気持ちが分かり始めてきた。

「…まあ、でも、たまにはいいかもな、こういうのも。」

思えば部屋の中でしかこういうことはしていなかったのだ。他の人にばれたらまずい、というのが主な理由だが。
カイウスは、「お前女の子にも見えるから、メンバーいないとこなら大丈夫だよ。」とマオに言ったこともあったが、あまりにもマオが怒ってしまったので、外では至って普通に振舞っていた。

「…ねえ、キスしていい?」
「はあ!?」

マオの問いに驚くカイウス。それこそ誰か来たら終わりだ。

「いいでしょ、ここまでやってんだから同じだって。」

マオがさらに顔を近づける。マオの匂いが漂ってきた。

「…マジでするの?」
「顔、真っ赤だよ、カイウス。」
「う、うるさいな!」

マオはクスクスと笑って、カイウスに口づけた。
うわー、やっちゃったよー…と1人思うカイウス。だが抵抗はしなかった。
しばらくそのままでいたが、やがてマオが唇を離した。

「なんか、ドキドキする。こういうの。」
「オレもだよ。…当たり前だろ。」

上空に鳥が1羽飛んで行った。あの鳥は見ていたのだろうか。まあそうだとしても何の問題もないけれど。

「そろそろ戻らない?」
「んー…昼寝したい。」
「おいおい…。」

マオは起き上がって、カイウスの膝を枕にして再び横になった。

「これって、見られたらどれぐらいヤバイかな?」
「んー…やめた方がいいんじゃね?」

なるべく疑われるようなことは作りたくない、というのがカイウスの考えだった。
それなのにマオは人目を気にせずに抱きついてきたりする。
まあマオは『子供』だから、みんな別に何とも思わないのだろうか(こんなことマオに言ったら怒るだろうけど)。

「な、部屋で寝ようぜ。今ルビアいないからオレの部屋入れてやるよ。」
「え? ホント? じゃあ行こうかな。」

ルビアには悪いけど、と苦笑するマオ。こういう時でなければ危ないことはできないのだ。

「ほら、行こ?」

うん、と言ってマオは起き上がった。カイウスも立ち上がって昇降機へ向かう。

「ここで手つないで行ったら、アンどんな顔するかな?」

アン、というのはアンジュのことだ。名前を略して言うことがこの船の密かなブーム(マオ談)らしい。

「さあ? まあ驚くだろうけどさ。」

カイウスがそう言うと、マオが手を握ってきた。

「いや、まずいだろこれは…。」
「やっぱ?」

へへっと笑って、名残惜しそうに手を離すマオ。
カイウスはマオの頭にポンポンと手を置いて、「すぐにできるだろ。」と言った。
そうだね、とマオはうなずき、再びギュッと手を握り、すぐにまた離した。

さっきの鳥が、また2人の頭上を舞っていた。


→後書き

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