ロイジニ30題
□06-けん玉
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今日はボクの8歳の誕生日。
ハーフエルフという立場上、祝ってくれる人は姉さんしかいないけれど。
それでも、「おめでとう」と一言言われるだけで、生きている意味がある気がした。
でも、今日は…。
「ジーニアス、誕生日おめでとう!」
学校に着くなり、ロイドがこう言った。
「私も聞いたよ、おめでとう!」
コレットにも言われる。
「聞いたって…誰に?」
「バカ言え、リフィル先生に決まってんだろ。」
「ちょっと前にジーニアスの誕生日がいつか気になって、二人で聞きに行ったんだ〜。」
「ロイド…コレット…。」
思わず涙がこぼれそうになった。でも、それではあまりにも不自然である。端から見ればただ誕生日を祝うという、ごく普通のことなのだから。
だから、涙をこらえて、笑顔で言う。
「うん、ありがとう!」
そこで、コレットがバッグから何かを取り出した。
「これ、プレゼントだよ。あんまり上手じゃないけど…。」
包み紙を開けると、おいしそうなクッキーが何枚か入っていた。
「わぁ、おいしそう…。家に帰ったら食べるよ!」
「うん! 明日感想聞かせてね。」
コレットはそう言って自分の席に戻っていった。
「実は俺からもあるんだぜ、プレゼント。」
「え? ロイドからも?」
「へへっ。学校が終わったら渡すよ。」
その後はずっと、そのプレゼントのことが頭から離れなくて、なかなか授業に集中できなかった。ロイドがボクにプレゼント…料理はしなさそうだし、何か買ってきたのかな…?
でも、プレゼントをくれるだけで嬉しい。何でもいいんだ。今までは姉さん以外には祝ってすらもらえなかったんだから。