ロイジニ30題
□04-大好き
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ボクがイセリアに来てロイドと友達になって、もう3ヶ月が過ぎた。
ロイドと遊んでいると、自分がハーフエルフだということを忘れられる。
ただの子供になれる。
それが嬉しくて、楽しいのだ。
「ジーニアス! どっか行こうぜ!」
放課後。ロイドがボクを誘ってくる。いつものことだ。
「どこに?」
「実は村の近くに、すんげえいい場所があるんだよ。ジーニアスにも見せてやりたい所がさ。」
嬉々としてロイドはそう言った。
「へえ〜…。で、なんでそのすんげえいい場所に、今まで行かなかったのさ?」
「まあ、いつもは普通に遊んだ方が楽しいからな。今日は何かそこに行きたい気分なんだ。」
自信ありげな表情でそう言うロイド。
「分かったよ。じゃ、行こう?」
ノイシュに二人で乗って、しばらく走った先に、小さな川があった。その周りには多くの花が咲いていて、蝶がたくさん飛んでいた。
花畑。絵に描いたような。
「うわ〜、綺麗だね〜!」
「だろだろ!?」
目の前の光景はなかなか幻想的だった。人生で見た一番綺麗な景色かもしれない。今までの旅では、こんな景色を楽しむ余裕なんてなかった、というのもあるだろうけど。
「ロイドにしてはセンスがいいね。」
「だろだろ…って、お前それ馬鹿にしてんのか?」
「さあ?」
「あー、絶対馬鹿にしてんな! コンニャロウ…」
そう言ってボクの髪をグチャグチャにするロイド。
「あはは、やめてよ〜…。」
「お前が悪い!」
「ごめんごめん。…でも、ホントに綺麗だ。」
ロイドの手が止まり、「だよな〜。」と言って地面に寝転がった。
ボクも隣に寝てみる。目の前を蝶が一匹通り過ぎた。
しばらく蝶の動きを見ていたが、やがて意識が遠くなって…。
「…アス! おーい! ジーニアス!」
「ぅ、う〜ん…。」
目の前には蝶ではなくロイドの顔。気がついたら寝てしまっていたようだ。
「ほら、夕日が綺麗だぜ。」
ロイドに指さされた先を見ると、なるほど綺麗な夕日だ。
「ホントだ〜…。」
「この夕日も、ここのすんげえポイントの一つだぜ。」
「…ボク、この場所気に入ったよ。ありがとうロイド。」
「そうか? 行きたくなったらいつでも言えよ。ノイシュに乗せてやるからさ。」
「うん。また来たいな。」
二人で並んで、しばらく夕日を見ていた。
「…さ、そろそろ帰ろうぜ。」
「…うん、そうだね。」
ロイドに言われて立ち上がる。もうすぐ夜だ。姉さんが心配するだろう。
「やっぱりボク、人間は苦手だけど、ロイドは好きだな。」
「へへっ。なら俺はジーニアスのこと『大好き』だぜ!」
大好き。
言われたその言葉。
…いい響きだなぁ。
「…うん。ボクも『大好き』だよ。」
その時、ボク達は友達から親友になれた気がした。
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