ボンゴレ式ハロウィン来る!

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「その前に、全員仮装してもらうからな」

「・・・・やっぱするんだ・・・」
「当然だろ」

赤ん坊はそう言うと、後ろの茂みから段ボール箱を引っ張り出した。

「こん中から好きなのを選べ」

ドンと置かれた段ボール箱に、わらわらと人が集まってゆく。

「すっげー!魔女とかあるぜっ」
「コレは・・・かぼちゃか?」

「クフフ・・・当然、制服物はあるんでしょうね ?」

「・・・・可愛い」

「(ガーン)さりげに皆乗り気だーっ!」
「ツナくんも一緒に見よ?」
「え、あ、う、うん!」

わいわい言い合いながら服を漁っている集団から離れているのは、やはりというか、

「お兄さんは行かないのですか?」 「・・・・ふん」

雲雀は集団を見て鼻で笑うと、少女を横目で見下ろした。

「見に行きたいなら君だけで行けば?」
「・・・・じゃ、そうさせていただきます」

ぱたぱたと駆けて行く少女を尻目に、雲雀は生あくびを噛み殺した。

―――来るべきではなかった。

沢山の人に紛れて何かをするのは、やはり自分の性分に合わない。

―――このまま帰ってしまおうか。


今なら誰も見ていない。気づかれる前にさっさと・・・・・・

「お兄さん」

はっといつの間に俯けていた顔をあげる。と 、後ろ手にやった少女がこちらをしたからのぞきこんでいた。

「足元」
「は?」

「何か落ちてます」

地面を見るが、暗くて何が落ちているかわからない。

「ほらそこ、そこですよ」

不審に思いつつ少ししゃがみつつ下を覗きこむ。瞬間、

「おりゃ」

―――ズボッ
「!?」

頭に何か柔らかい布らしきものが被された。

「何を・・・・」

頭をあげた瞬間、周囲の人間が目を見開くの が見えた。そして次の瞬間、

「クッハハハハ!これはまた・・・・・!クハハハ ハハハハハ・・・・・」

「ははっ意外と似合ってるのな」
「あの女。本当にやりやがった・・・・」

「・・・・・・・」
「ツナくん、フリーズしちゃってる・・・・」
「クフックフフハハハハハげほげほごほっ」
「骸様・・・・笑いすぎ・・・・」

嫌な予感がして頭に手をやると、三角型の柔らかいでっぱりが二つついた帽子らしきものが頭に被せられていた。

「猫耳帽子(ネコミミハット)、バージョンブラック」
「・・・何のまねだい?」
「皆さんにお宅に一番ピッタシな仮装をアン ケートしてみたところ、満場一致で『ネコミミ』と申されましたので」
「今すぐこの場にいる人間全員残らず殺していい?」
「殺人は犯罪です。
それに皆さんが仮装するにも関わらず、お宅だけ一人何もしないなん て空気よまな過ぎですぞ?
少しは協調性というものを養いなさい」
「君にとやかく言われる筋合いはない」
「あります」

顔をしかめつつ少女を見下ろすと、少女は真っ直ぐな目で雲雀を見上げた。
暫く無言で火花を散らす。
少女は真顔なまま口を開いた。

「だから、私は黒猫の飼い主の通行人A という役柄でお願いします」

「どこがどう繋がって通行人Aになるんだい? 」

話題をそらされた気もしたが、雲雀はその一言ですべてがどうでもよくなってしまった。

「どうせ、この集まりが終わるまで『はずすな』って言うんだろう?」 「当然です」

雲雀は小さくため息をつくと、呆然とこちらを見ている観衆に目を向けた。

びくっと反応する人々。

「それなら交換条件だ。僕がこれを外さない代わり、君はアレをつけててもらうよ」
「アレ?」

首を傾げる少女。雲雀は人差し指で『ソレ』 を指差した。
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