ボンゴレ式ハロウィン来る!

□2
2ページ/3ページ

《数時間前》書類整理を終えた雲雀は、一人の赤ん坊に肝試しに誘われた。

『今夜の夜九時、並盛山の入り口を集合場所 に指定してある。ま、興味があったら来てく れ』

勿論、断るつもりだった。その旨を伝えに、赤ん坊のいる沢田綱吉の家に向かうその途中で、

「そこ行くお兄さん」

彼女に呼び止められた。
雲雀が振り向くと、黒髪ぱっつんショートで丸眼鏡をかけた、いかにも地味な少女がこちらを見ていた。
並盛の制服を着ているので、 きっと並中生だろう。

「お宅、少々悪いモノに魅入られております よ。今夜はどこかへお出かけか?」
「君に報告する筋合いはないよ」

普通の並中生なら、彼に話しかけるようなこ とはしない。
そういう点では興味をもったが 、彼女のオカルトな発言から雲雀は彼女と会話することをやめた。 オカルトオタクに時間を割いてあげられるほど、雲雀はヒマではないのだ。

「まま、そう言わず」

そう言って追いかけてくる少女に、雲雀は懐 から出したトンファーを突きつけた。

「それ以上近寄ると、咬み殺すよ」
「そんなに言いたくない事情なのですか?

あ 、アレですか?今夜は彼女のとこに泊まりに 行く的な。だからおおっぴらにそれを言うの は恥ずかしいと。おおー意外とうぶな少年で すな」
「君・・・僕を怒らせたいのかい?」
「お宅がはっきり行き先を言わないからでし ょ?それとも、もっと卑猥な理由だったりし て?」


雲雀は一瞬トンファーで殴りかかるべきか否 か本気で逡巡したあげく、さっさと理由を告 げた方がこの厄介ごとから解放されるという 結論に達した。


「・・・・知り合いに肝試しに誘われたけど、断 りに行くんだよ」
「ほうほう。この時期に肝試しとは。なかな か面白みのある御仁ですなそのお知り合いと やら」

顎に手をあて、うむと小さく頷く少女。さあ もう用は済んだ、といわんばかりに少女に背 を向け歩き出す雲雀。
だが、その背を少女の 声が追いかけた。

「で、お宅はその肝試しを断りに行くのです な」


無言で歩く雲雀。


「それは残念。そこへ行けば、お宅と因縁の ある御仁と合間見えるのですが」

雲雀の歩みが止まった。
ゆっくりと振り返った雲雀の目には、先ほどとは比べ物にならない殺気が宿っていた。



「君・・・・・何者?」


返答しだいでは殴りかかる、といいたげな雲 雀に、少女は落ち着いた様子で答えを投げか ける。

「私は生まれつき、霊感というモノがあるの ですよ。お宅の隣にいる御仁。彼に色々話を 伺いまして」
「馬鹿にしてるのかい?」
「いいえ。私はいたって真面目です」

雲雀は怒りで真っ白になりかけている頭を冷 やそうと目をとじた。
彼女は本気で言っているのは彼女の目を見れ ば分かる。
どうやら彼女は少し頭がおかしいことも、今までの会話から推測できる。
ならば自分の下す判決は二つ。
さっさと話題を打ち切って、赤ん坊のもとへ 行くか。ないしは、彼女の狂言に付き合ってやるか。

雲雀は少し考えた後、

「ふぅん。まぁ、今日は特に用事もないし。 顔をだすだけくらいなら悪くないかもね」


少女の狂言に乗る事にした。


「そうですか。では本日夜八時四十五分頃、 お宅の家の前で集合ということで」
「なんで君もついてくることになってるの」 「お宅一人ではいささか不安でして。いえ失 礼。お二人ですか。ああでもこちらの方には 実体がありませんのでカウント外ということ で」

もはや怒りすら通り越してただただ唖然とす る雲雀。少女は勝手に話をまとめると、雲雀 に一言告げた。

「私を出し抜こうとしてもムダですぞ?私は お宅よりはるかに頭がよいのですからな」

去っていく少女を呆然と見送りながら、早く も自分の出した結論に不安を抱き始めている 雲雀だった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ