薔薇色の空間
□消えた左翼を捜す旅
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左右から同時に話しかけられて困ったように答える君の姿が目に映った
それは絶対自分にはできないことだ
(おれは…右側が見えんけぇね…)
それに気づいたとたんに
相殺していた感情が憎しみに傾き始める
なぜ俺からいろんなものを奪っておいてわらっているんだ?
自分と同じ目に合ってしまえばいい
傾きだした感情に逆らえない
もう彼の右目の事しか考えられない
ついに彼の右目に向かって思いっきりボールを打ち込んだ
彼は避けるだろうな、とぼんやりと思った
彼の反射神経で避けられないはずがないのだ
でも彼は一切避けるそぶりさえ見せずに
ボールを受けた
「ケジメたい!」
(ああ…桔平はそう言う奴やったね)
だから憎めなかったのだ
もう、いい
それに気づいたとき彼の優しさにも気づいた
(? こっちにボールが来ん?)
そして試合が終わった