厨二録

□拝啓 大切な君へ
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将来って何をすればいいのかな
まだ先の事なのに周りがだんだん今から未来へ移っていく
なのに私は変われない
高校は将来を考えるところ
高校へ入ったら将来がわかるようになるのかな?
そうは思えないけれど
高校へ行ってもわからなくて
大学へ行ってもわからなくて
ならその先はどこへ行けばいいのかな?
どこへ行ったら答えがあるのかな?
「どこにもないんやない?」
君の声がした気がする
「自分で見つけるから面白いんやって!」
見つからないから聞いてるんだよ、ばか
「じゃあ見つかるまで探さなな!」

それでも見つからなかったときは?
…君には聞くまでもないかな
「最期の瞬間まで探すんや。ひょっとしたらもう見つけとるかもしれへんしな!」
絶対にこういうもんね
でも私分かってた気がするんだよ
となりに君がいたときは
だって私が描いてた未来には君がいたし
君が描いてた未来には私がいた
それでよかった

君がいなくなった未来を描き直す気力なんてものは私にはなくて
それなりに生きていくだけで精一杯になった
きっとあのときあった当たり前の未来は消えたんだと思う
それなりに生きて
それなりに人生送って
死ぬ間際になって
あれしとけばよかったななんて考えたりして
死に怯えながら過ごすんだろう

そんなときにふっと思い出すんだ
君と見つけた小さい幸せについて
空がきれいだ
となりの家で子犬が産まれたんだって
虹がある
友達の服が可愛い

…そういえばあんなことで笑ったね
先生のカツラずれてる
あそこの男子寝癖ひどい
チャックあいてるよ
さっき古文の先生が滑った

…ああ、あんなこともあった
君に彼女ができた
物好きもいるもんだねって笑って
誤解され無い様にって
慣れない名字で呼び合って
やっぱり無理だねって笑って
すぐ名前に戻した
あのときの彼女とは今どうなってるの?
私にはもう関係のないことだけれど

君の声が思い出せない
なのに思い出だけが残るのってずるいよね
君は幸せになってるんでしょう?
そうじゃなかったら赦さないけど

私は幸せなのかな?
想像にまかせる…とか言ったらまた笑われそうだから言わない
…でもやっぱり想像にまかせようかな
君の考える私が幸せな少女であることを祈って

記憶の片隅にでもいいからおいておいてくださいね

                            敬具
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