貴方に触れたらサヨウナラ
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切願の吐露【セツガン×トロ】
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「…帰るぞ」
俺の言葉に反応した面々(めんめん)が、一斉(いっせい)にこちらに振り返る。
「わ、わかりました…」
またね?と言う(名前)に、白石と忍足が切なそうに頷いて、小走りで戻る(名前)の後に俺も続いた。
「…―――真田君!!」
歩を進める俺の背中にかかる声。忍足か…?
立ち止まり振り返ると、二人が俺の傍(そば)までかけて来る。
「何だ」
「こないな事真田君に頼むのは間違いやって分かっとる。…分かっとる上で、頼みがあるんや…」
言葉の真意が分からず訝(いぶか)しげに片眉を上げると、隣にいる白石も忍足と…同じ顔で俺を真っ直ぐに見ていた。
「…(名前)を頼む」
「どういう意味だ」
「詳しい話は長くなってまうから今は言えん…けど…
どうか…(名前)を守ってくれんか…」
真田君しかおれへんねん…と白石も言葉を続けた。
その瞳があまりにも痛々しく、
「…理由は後で聞くぞ」
とだけ伝えて、俺はまた走りだした。
「…よろしゅう…お願いします」
背中から聞こえた言葉に、奴らの本気が滲み出ていて、訳も分からないまま
((名前)を守ってくれ…)
吐露(とろ)した二人のあの表情(かお)が…
俺の何かを締め付けていた。