★じゅんじゅんと夢の世界へ★

□契約
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〜名無しさんside〜


ガラガラっ!

教室のドアを開けると女子の鋭い視線がささった。居心地がスゴく悪い。



3時間目が終わって、次の授業の準備をしているときバシッと肩を叩かれた。


「いっった!」


『ねぇっ名無しさんちゃんだよね?』


まるで少女マンガとかで出てくるいじめっ子みたいだった


「はい…そうですけど」


『あたし、ゆたこって言います。よろしくねっ』


いじめっ子なんかじゃなかった


普通の元気のいい女の子。
ニコニコしてて話しやすそう


「うん!よろしく」


『てか、名無しさんちゃん凄いね』


凄い?なんのことだろ?


『転校早々淳くんおとすって』


このこも淳くんか!?

ちょっとまて、おとすってってなんだ!

『なんか、淳くん目当ての人もいるらしいし』


「そうなんだ」


そりゃモテますよ!
かっこいいもん



その後もゆたこちゃんはこの学校のことを話してくれた。執事…淳くんのことも


『んで、淳くんは、3年生のSランク執事でトップなの。あとー3年前に誰かにつかえてたらしいよ。噂だけどね』


私がこのことを知ったのは夏休みの2週間前だった


孤独な街に広がるー♪
甘い巣穴に掛かりー♪


ん?メールだ誰だろ


淳くんからだった
(教室でお待ちください。研二と一緒にお迎えにあがります。 淳)



別に一人でも帰れるのに…

「ゆたこ?どーする?一緒に帰れる??」

『いいよーっ名無しさんのことも知りたいし』


私たちはいつのまにかお互いをゆたこ、名無しさんって呼び合っていた


『お嬢様?お迎えにあがりました』

「ゆたこー帰ろー。あ、そういえばゆたこの執事さんは?」


『いないよ。てか、いらない。自分のことは自分でするから』

「そっか」


私ま自分のことは自分でしたいんだけどなぁ


『さぁ、帰りましょう。お嬢様』


「名無しさんちゃーんゆたこちゃーん帰ろー」


研二はいつもとおんなじだ



15分ぐらい歩くと私たちの寮が見えてくる


「夏休み、オレん家来ない?もちろん淳くんと一緒に。名無しさんちゃんとゆたこちゃんどう?」



研二はなんもしないからーって一生懸命アピールしてる


『あたしムリ。海外行くから』

か、海外!?


「わ、私は大丈夫だよ」

やっぱりお金持ちは違うなぁ…

ん?なんか淳くんの顔が曇ったような……




「じゃっバイバイ」
『ばいばーいまた明日ね』


研二とゆたこは2人で帰るみたい。

あの2人がペアになればいいのに……



〜淳side〜

『今日もお疲れ様でした。今お茶を……』

「ねぇ?なんでさっきあんな顔したの?」


僕の表情は、お嬢様にバレていた。お嬢様に心配ごとなんかさせちゃダメなのに。


「ねぇ、なんで?執事なら答えなさい」


僕の額には冷や汗がにじんでいた。しかしずっと黙っているわけもいけないので僕は重い口をあけた


『えっと…私には親がおらず、ずっと一人でした。たから楽しそうに笑う研二を見て少々うらやましく思っておりました。』


「別にいいじゃない。私だって親いないし…でもね私は後悔とか羨ましいって想ったことないよ?だってゆたこと友達になれたし淳くんや研二と笑いながら毎日を過ごせてることが楽しいから」


ニコっと笑いながらお嬢様は夕食を口に運んでいた



僕は気付いた。
研二が羨ましくてあんな顔をしたんじゃない。

僕はお嬢様が好きなんだ……
あのときお嬢様が研二にニコっと笑ったとき、このまま研二に取られてしまうんじゃないか、お嬢様は研二のことが好きなんじゃないかと考えてしまったからあんな顔になったんだ……



「淳くんさぁ3年前つかえてた人ってどんな人だったの?」


3年前…………


『申しわけありません。これはお話しできません』

「そっか。いいよ無理しなくて」

誰にでも言いたくないことあるもんねっとまたニコっとする


「あ、そうだ研二の話しだけど大丈夫かな?淳くんは」


『えぇ、大丈夫ですよ。執事も夏休みはありますから』


フフッと笑う私の主。
その笑顔を他の人には見せないでほしい……と考える自分を押しつぶした
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