「仕方がないな。君の羞恥心を克服した"あれ"でいくぞ」
雅人が言うや、あっと声を上げて鳴海の顔が一気に紅潮していく。
恥ずかしさで、顔を俯かせ迷いが浮かべたが。
「はい。わかりました」
鳴海は返事をし、雅人の言うあれの準備に取りかかる。
ゆっくりと裾へ手をかけ、僅かな躊躇いを帯びていたが、意を決するように唇を結び裾をまくり、シャツを脱いだ。
シャツだけではない、ベルトを外しオシャレな革のパンツを下げ、脱いでいき服の下に身につけていた、下着のポクサーパンツも脱いだのである。
すると、鳴海の裸体が露わとなった。
「恥ずかしかしいか?」
腕を組み、雅人が聞いてくる。
鳴海にとって、いくら同性相手でも恥ずかしいものは、恥ずかしい。
華奢ながら、ダンスなどつちかわれた鳴海の肉体は、なよなよというよりしなやかさがある。
「大丈……夫です」
「では、始め!」
雅人のかけ声で、再び鳴海が振り付けを行う。
正直、何もかもさらけ出した裸で曲の振り付けをするのは、とても恥ずかしい思いがあった。
しかし、ライブなどで実際に歌い踊るのは、何倍も羞恥心を覚えている。
視線だって、雅人一人だけではなく何千、何万の観客から注がれるのだ。
(そうだ。僕は皆を魅了するアイドル。恥ずかしがっては……)
と、心の中で自分自身を強く叱咤して、羞恥心を感じても先程より際立った動きをし、振り付けのダンスをする
「よし! そこまで」
「はっ……はっ」
雅人からの褒める言葉に、肩で息をしながらホッとなる。
「いい感じだ。今度のライブでも今の感じで」
「はい!」
汗ばみ、紅潮した艶かしい様子で醸し出しながら鳴海が返す。
鏡にそんな自分の姿が映ってて、鳴海の視界に入ってくると恥じらうが、視線を逸らして気づかないフリをするも。
「今の鳴海の姿は、とてもいいぞ」
そう、雅人が言うなり鳴海を鏡の方へ身体を向かせたのだ。
すると、何とも言えない鳴海自身の姿が嫌でも目にする。
「あ……あぁ」
思わず声を上げ、鳴海は恥ずかしくなった。
これに、雅人が目ざとく気づいて。
「まったく君は」
呆れたような口調を、ため息と共に吐き出す。
「す、すみません」
「いつもの、レッスンのもっと恥ずかしいことで、ライブステージでの羞恥心を湧かせないようにしないと」
そう言うなり、まずは入念なマッサージをして、鳴海の強張りをほぐそうとなった。
雅人の掌が、鳴海の肌を伝い撫でていく。
「はッ、んッ!」
掌の感触で、鳴海はゾワゾワとしたくすぐったさを覚え、目を細めると漏らす声を震わせる。
雅人の掌の温かさが、彼の手の動きをより鮮明なものにする。
「ここも、しっかりとほぐさないと」
そうして、雅人が鳴海の胸元を触れ撫でた。