今や、ネットワークシステムで世界とボタン一つで繋がる発展した現代だが、だからこそ人間以外の種族は手を変え形を変えて蔓延るのである。
大都市の一角にある某所に淫夢魔を派遣する会社。ナイトメアが堂々と存在する。
そんな中で、幹部たちを集めた報告会の席で社長であるメフィスト=フェレスは、淫夢魔。特に男性型のインキュバスが魔力を落としいる話を聞いた。
「いつ頃から、そんなことになっている。何故、早くに報告をしなかった」
「は……すみません。話を聞いたのは、ここ最近でしたので」
メフィストの厳しい言葉に、報告した幹部が目を白黒させながらしどろもどろになっている。
言葉では、厳しい態度を見せたメフィストであったが、早くにわからなかった原因は知っている。
(そう言ったが、魔力を下げたインキュバスが隠していたのだろう)
淫夢魔は、悪魔のように組織的に動ける種族ではない。
たまに、インキュバスとサキュバスのペアで動くことはあっても、そのほとんどは単独行動が多い。気質的に一匹狼な所があるのだ。
会社の体裁を取っているが、淫夢魔の行動を全てを把握していない。
あくまで、会社は淫夢魔を性欲解消の為に電話をしてきた人間に、送り込む仲介役に過ぎなかった。
実際に顔を合わせるのは、幹部たちと呼び出した者ぐらいだ。
「魔力を下げたのであれば……無論」
「そうです。射精をしたようでして」
そう言った報告者に、他の幹部たちの視線が集まる。
淫夢魔は、人間をイカせても自分たちは決してイってはならない。
精を得て生きているのに、イってしまったら間違いなく弱まってしまう。
例外的なものもあるが、少なくともイクことは禁忌とされている。
「しかし、恐ろしいと感じるが。いったいどんな女なのか気になる」
「あ……いえ、それが」
他の幹部の何気ない一言だったが、報告者は眉を寄せ言うかどうか迷う素振りを見せた。
しかし、メフィストが話せと視線を向けるので、おずおずと答えた。
「じ……実は、相手は男でして」
「はっ? 男だと」
「こんな時に、悪い冗談は止めるのだ!」
報告を聞いた幹部から、口々から驚きと不審の声が上がる。
だが、報告者は強調して。
「私も驚きましたが。でも嘘ではありません」
幹部の言葉を否定し、改めて相手が男と告げる。
これを受け、室内はシンと静まった。
メフィストも予想外の相手に、口元を押さえ考え込むのであった。
異様な熱気に包まれてリズミカルな調子で、ベッドの軋む音が聞こえる。
「あッ、あッ、あッ」
軋む音と共に、切ない響きで喘ぐ者の声が重なった。
横向きに寝かされて片足を上げ、股を大きく開かせられて相手を受け入れている。
「ヤバいぞ。お前の身体……スゴく快い」
責める相手から、そんな言葉が漏れる。