Novelette

□スペースインベイダー
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 カチャンと音が響き、辺りが明るくなり諸星 遥(もろぼし はるか)は、眩しさに目を細める。
そこは、広い部屋で周りは家具などではなく、機械の管やら何やらがあり何か研究室か何かを思わせる。

「なんだ……ここ」

 遥は、普段通りに塾から自転車で帰宅をしていた。
そんな時、フワフワと円盤型の光が空に漂っていたのを目撃する。
最初は、飛行機の光かと思ったがその光は、行ったり来たりを繰り返すとついには、近くの丘辺りで消えた。
これに惹かれる様にして遥は、その丘へ向かったのだけれど。

(そこまでは、覚えているけどその後が……)

 後の記憶があやふやだ。
しかし、ここはどこだろうと首を傾げる。
丘に上っていたのに、今はこうして室内にいるのは不思議な気分だった。

「とにかく、出口を……」

 と、呟いて立ち上がり近くに窓がある事に気づいて、窓にはブラインドで外を見えないようにしていたから、それを上げると。

「なっ!?」

 窓の外を見るなり、愕然とした。
なんと外は真っ暗、小さな白い光が見えていたが更に、下から青白い光が見えて目を向けると、青白い光は星だ。
しかも、見た事のあるもの。

「これ……地球だ! と、いう事はここは宇宙船の中!?」

 驚いた声を上げた時、ウィンと壁だと思っていた場所が開き、そこから人が入ってくる。
遥ははっとなり、振り向くなり。

「う……!」

 と、呻きを漏らす。
人だと思ったが、実はそれは宇宙服の様な厳重な装備をつけ、人の顔にあたる部分は硝子の様な透明な球体が覆っているが、そこから見えるのは人の頭ではない。

「タ……タコ!?」

 タコの頭で、そこにある目がギョロギョロと動いて、遥を見つめる。
異様な生命体との遭遇と宇宙船となれば、遥も自分自身の身に何が起こったかわかった。

(俺……宇宙人に拐われたのか)

 そう思うと共に、本当に宇宙人が存在していた事に驚く。
目の前の宇宙人が、何を思って遥を拐ったのか。
しばらく、宇宙人はジッと遥を見つめている。
それは、遥の頭のてっぺんから爪先までだ。

「な……何だ!? 地求人がそんなに珍しいか!」

 遥は怒鳴って言ってみたものの、宇宙人の表情は全くわからない。
何しろ、宇宙人の姿はタコの姿なので表情がわからなくて当然であった。
ふと、遥の視線は宇宙人から宇宙人が入ってきたであろう入り口を見るや。

「くっ!」

 ダッと駆け出して、その場から逃げ出そうとした。
しかし、宇宙人はそれを許す筈もなくて、遥が通り抜ける間際に彼の足首へ何かが巻きついて、遥は床に転んだ。

「って……てて」

 遥が身体を起こしながら、足首に巻きついたものを見ると、うわっと声を上げる。
それは、宇宙人の手元から伸びてて宇宙人の触手とわかる。


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