無邪気な笑い声と、子供のはしゃぐ声が響き渡る。
「ほら、斉瑛。来いよ」
「あ、待ってよ!」
二人の子供が、近くの森で隠れん坊をしたりして遊んでいた。
神社は、大事な神事の真っ最中で子供の自分たちは、神社に近づくなと言われていたが。
近づくなと言われると、余計に近づきたくなるのは、性だ。
「司、待ってよ!」
「シッ! 斉瑛」
そう言って、歳かさの司が唇に指を当てると、斉瑛ははっとなり口を塞ぎ黙り込む。
神社の裏手になだらかな斜面があり、その気になればここからこっそりと忍び込める。
二人はそうして、こっそりと入り中庭を通り樹木の陰にし、本殿を回り込むやワクワクとした様子で、神事の様子を覗き窺う。
しかし、そこで見た光景はこの村の真実の姿であった。
ズキズキとする痛みを後頭部に感じて、大神 朔は意識を目が覚め身体を起こす。
「ここは……?」
辺りを見回しても、真っ暗で右も左もわからない。
空気はヒンヤリし、手から感じる感触がゴツゴツしているから、洞穴の様に思えた。
と、少し奥で何か黒いものが蠢く気配を感じる。
「おい、あんたも捕まったのか?」
朔に声をかけてきたのは、男だ。
近寄りポケットから、ペンライトを取り出す。
明かりがポッとつき、光で安堵するも周囲の暗さが強調され、同時に不安が増す。
「お前……大神か」
「聞いた声だと思いましたが」
この者は、行方不明となっていた記者である。
憔悴していたものの、顔色などは悪くない。
「ミイラ取りがミイラになってしまうとは」
「まさか、あれだけで自分が襲われるとは、思わなかったので」
と、記者とは反対側へ光を向けると、鉄格子が見える。
どうやら、檻のようだ。
「この村は、おかしい。狂っている。人間を集め生贄にし怪しげな儀式を行ってる」
「儀式ですか?」
「狗王様という神様を復活させると。今は科学が発達した現代だぞ。何を迷信に従っているのか」
記者は言うも、こうして捕まっている以上、どのみちどうしようもないとため息を吐き出す。
「俺以外にも、まだ何人かいたが生贄として、捧げられて今日は俺かと、ビクビクしていたら」
「私が来たと」
「あぁ」
そう話しながら、朔は何とか出れないかと鉄格子や壁を探るも。
゙人間゙の力ではどうしようもないが。
「儀式について、何か他に聞いてませんか」
「さぁな。ああ……でも、蝕の日にはなんたらかんたらってはチラッとは」
それを聞き俄然、朔は焦りを見せる。
「まずいな。それは」
手荷物などは、取り上げられたがポケットの中などは、検査はしなかったようだ。
もっとも、ポケットに入れておく気もなかったが。
「朔、何を」
「仲間と連絡するんです」
「馬鹿な。携帯の電波はここには……」
勿論、朔もその事は百も承知している。