いぬぼくlong

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 時間は、あっという間に過ぎてしまう


 
 君と過ごした日々など、来世などには残らない



 だから私は、今


 

 "君に伝えたい事がある"






ここは、メゾン・ド・章樫

通称「妖館」


私は妖館四号室に住む


幼いころから両親や他の家族との関わりはなかった


だから私は、今ここに居る、

この場所が

一番の家族だ、






「おはようございます、名前様今日の朝ご飯はどういたしましょうか?」

『あっ、おはようごじゃいます・・ふわぁ〜

朝ごはん・・御狐神さんのお勧めで』





彼は私のSS、まだ会ってから日は浅く"御狐神さん"

と呼んでいる、

その御狐神さんのほうは"名前様"と下の名で呼ぶのに・・





「まだ目が覚めてないようですね・・

そのようなお姿、とても可愛らしいです・・ハァ・・」


『う・・うるさいっ!!

それより、朝ご飯の話だろ!』

「あっはい、お勧め・・ですと、フレンチトーストに野菜スープ、

デザートは、苺ミルフィーユ・苺タルト・苺のムースがございますが

どちらにいたしましょう?」

『ず・・ずいぶんと苺が多いな・・』

「えぇ、名前様は苺が好きだと伺っていましたので」








彼は不思議な人だ、

教えてもいないのに私の事を知っている

私は君の事、名前しか知らないのに・・







『じゃぁ、苺タルトで・・・』

「解りました、ではこちらに」




いつもと同じように部屋から出て今日の朝ご飯について会話をする


そしてエレベーターに乗る


今までと言っても、ここ数ヶ月


エレベーターの中で彼と話した事はない


と言うより、何を話していいのか解らないのだ


今日・・今日こそは、何かあなたの事が知りたい・・、








『あ・・あの、「名前様、今日の帰りは何時頃になりますか?」


『あ、えっと・・今日は四時半ごろだと思います』

「了解しました、何かお話がありましたか?

口を挟んでしまって申し訳ありません」


『いえ、特に・・大事な用ではないので・・・』






今日も聞けなかった、

何一つ

君の事知れなかった、







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