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□緋色のきもち
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「じゃああれだ、テイトに自分の思いを伝えてみろよ」
「主に会うことが出来ないのに、どうしろというのだ」
馬鹿馬鹿しい、とばかりに首を振るミカエルに、フラウは「いい方法があるぜ」と棺桶の奥からある本を取り出そうと手を伸ばす。と、目と鼻の先を鋭い刃物のようなものが掠めた。
「まさか貴様、司教にあるまじき猥褻な書物を主に見せる気か…」
地獄の底から睨み付けるようなミカエルの視線に生命の危険を感じ、フラウは慌てて本の表紙を示した。
「ちげーよ!ちゃんと見ろ!!」
ミカエルは本を受け取り、上部にでかでかと書かれた題を胡散臭そうに読み上げる。

「『よい子の手芸』…?」

「お前のその愛とやらを込めてテイトのために作ってやれば、受け取った反応でテイトの気持ちが判るだろ」
「ふむ……貴様にしては名案だな」
ミカエルはそう言うと、パラパラとページをめくり始めた。フラウもそれにつき合って本を覗き込む。うさぎの縫いぐるみ、ねこのランチマットなど、可愛らしい造形のものがページいっぱいに載せられているそれらを眺めて、ミカエルは困惑したように唸った。
「ゼヘル…主はどのようなものを喜んでくれるだろうか」
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