*その他*
□『愛したヒト』@跡日
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「跡部さ、んっ…!!」
俺の名前を呼ぶ相手の顎を掴み、唇にキスをする。
そして、不意討ちで半開きになっていた相手の口内に
するりと舌を滑り込ませ、相手の舌と自分の舌とを絡めた。
「んぅ…ふ…//」
初めは戸惑っていた様子の相手だったが、
少しずつ自分からも舌を絡めてくる。
ぎこちなく、お世辞でも上手いとは言い難かったが、
それでも俺は、そんな相手の行動が嬉しかった。
暫くして唇を離してやると、相手は苦しそうに呼吸をし、
トロンとした目で俺を見詰めてくる。
その表情にどくんと心臓が大きく跳ね、鼓動が早くなっていく。
このままだとおかしくなりそうだと思った俺は、
今度は離れられないくらい強く相手を抱き締めた。
「んっ…跡部さん…くるしっ……//」
俺の腕の中でモゾモゾと身を捩る相手。
可愛すぎる…。
『離れたくない……』
そんな言葉が頭に浮かぶ。
こいつ相手だと、こんなにも弱いなんて…俺はキング失格だな。
「跡部さん…いったい、どうしたんですか…?」
俺をこんなにした、当の本人は完全に無自覚…。
まぁ良い、これから嫌って程分からせてやる。
「若……」
抱き締めたまま、耳元で相手の名前を囁く。
日吉若…この俺を、初めて弱くさせた男。
そしてこの俺が……
「愛してる…」
「っ…はい……//」
この俺が、生まれて初めて、愛した男(ヒト)……。