*BLEACH*

□『髪は心の同調先』@一剣
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危なく禿げにされるところだった頭を抑え、涙目で剣八を見上げる。



まだ不機嫌らしく、相手はギロリと俺を睨んできた。



「…んだよ。」



「いや…なんでもねぇ…」



相変わらず素っ気ない…



俺は、頭を抑えたままシュンと俯く。



確かに、今のは俺が悪い…それは分かってる。



けどよ、久し振りに会いに来たんだぜ?



ちょっとくらい、会いたかったとか、寂しかったとかあっても良いじゃねぇか…





なんか、段々虚しくなってきた。



結局、会いたかったのも、寂しかったのも、俺だけって事かよ…



肩が震える…目頭が、熱くなる…



(馬鹿みてぇ…)



俺はギュッと目を閉じ、膝を抱えた。



その時、背後から大きな温もりに包まれ、俺は顔を上げる。



「あっ…け、剣八…?」



そう、それは剣八だった。



相手は、多少のし掛かるような感じで、後ろから俺に抱き付いている。



「ど、どうしt「馬鹿じゃねぇの、お前。」



「はっ…え…?」



どうしたんだと言い終わる前に、かなり
食い気味でまた「馬鹿」と言われた。



お前それしか言えねぇのかよ、と思ったが、これ以上は
マジで殺されかねないから言わないでおく。



その代わり、俺はどういう事かと聞いた。



「お前なぁ…来てたんなら、さっさと起こせよ。」



「いやなんか、すっげぇ気持ちよさそうに眠ってたからよ…
起こしちゃ悪いかなぁと…」



「はぁ?そんな事気にしてんじゃねぇよ。」



「なっ…んな事、言われたってよぉ…」



「お前…いくら傍にいたって、俺が気付いてなきゃ
何の意味もねぇじゃねぇか…」



「えっ…?」



なんだ、今の…俺の聞き間違いか?



気付いてなきゃって…それ、ちゃんと俺と
一緒にいたいって事だよな…



マジかよ…うわ、すっげぇ可愛い//





「剣八…お前、たまにめちゃくちゃ素直だよな…」



「なっ…う、うるせぇ//!」



俺の言葉に声を荒げる剣八。



横を向くと、耳まで真っ赤にした相手の顔が目に入った。



「顔赤っ…どんだけ恥ずかしがってんだよ。」



「は、恥ずかしがってなんかねぇ//!」



「じゃあ、なんでそんな顔赤くしてんだよ?」



「っ…それは…//」



言い返せなくなったのか、俺の首筋に顔を埋める剣八。



あー…やっぱ可愛い。



どんだけ素っ気なくしてても、本当は会いたいとも、
寂しいとも思ってくれてたんだな…



俺は相手を落ち着かせるように、ポンポンと頭を撫でた。



ふわりとした感触。



やっぱり、柔らけぇ…



「お前、髪柔らかいな…」



「ん…そうか…//?」



「うん…気持ち良い…」



もう一度剣八の髪にキスをする。



そのまま相手に向き、お互いの唇が触れる寸前で顔を止めた。





「なぁ、剣八…キス、して良いか…?」



「なっ…//…お、お前…さっき、しただろ…//」



「いや、あれは同意無しだし…それに、剣八の表情も見たいから。」



「っ…//」



俺から視線を逸らす剣八。



あぁ、もうっ… 可愛いなぁ!!



「なぁ…駄目か…?」



「…駄目だっつったら、止めんのかよ…//」



「あー、そうだな…無理には、しねぇ。」



「っ…一護……//」



驚いたように俺を見詰める剣八。



そして、再び視線を逸らし、ポツリと呟く。



「…駄目な訳、ねぇだろ…//」



さっきよりも顔を赤くし、死覇装の裾を握る相手。



その姿に俺はクスリと笑って、優しく髪を撫でてやる。



「そっか…サンキュー、剣八。」



「あぁ……早く、しろよ…//」



「ん、おぅ…じゃあ、遠慮なく。」



俺は相手の頬に手を添え、そっと唇を合わせた。



サラリと手に触れる髪。



それは愛おしい程に柔らかく、まるで
素直じゃない剣八の心を表しているようだった…













素直じゃない君の



心の同調先…



それはとても触れやすく



それでいて一目では分からない。



柔らかく美しい漆黒の髪…
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