*BLEACH*
□『君の匂い〜マユリ編〜』@マユ剣
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ー涅マユリ自室ー
「さて…どうする更木、風呂でも入りに行くかネ?」
「ん、あぁ…そうだな…」
風呂に入るかと言う相手の言葉にテキトーに返事をして、
持ってきていた荷物から寝間着を取り出す。
(十二番隊の風呂か…なんか、凄そうだよな…)
「何をボーッとしているんだネ?早くしたまえヨ。」
「あ、おぅ…」
涅の奴に急かされ、俺は部屋を出る。
なんの言葉も交わさないまま、ただただ歩いていると、
すぐに風呂の入り口が見えてきた。
ー十二番隊隊舎・風呂ー
脱衣所に入り、俺は死覇装を脱いでタオル(手拭い?)を腰に巻く。
涅は頭やら何やらにいろんなもんくっつけてっから、
俺よりも準備に手間が掛かっているようだった。
「…お前、なんでそんな面倒くせぇ事してんだよ。」
「煩いネ…私はお前と違って、獣的じゃないだけだヨ。」
「獣的で悪かったな!」
犬が牙をむいて威嚇するように突っかかる俺。
こんなんじゃ、獣的と言われても無理はない。
「まったく、お前はいつまで経っても成長しないネ…」
今にも噛みつきそうな俺に、ククッと笑いながら涅が近付いてくる。
そして、ポンと俺の頭に手を置いて、そのまま
クシャクシャと髪を撫でた。
「そう威嚇するんじゃないヨ。私は、
お前のそういうところも気に入っているんだから…」
「なっ…//」
「クスッ…ほら、さっさと入ってしまうヨ。」
奴は普段見せないような笑顔を見せ、浴場の方へ歩を進める。
俺は、本日二度目の真っ赤になった顔を俯いて隠し、涅の後を追った。
浴場に入り、俺と涅はシャワーの前に隣同士並んで座る。
(十二番隊でも、風呂は普通なんだな…)
そんな事を思いながら、俺は体全体にシャワーを浴び、
専用の手拭いで体を洗った。
途中チラッと隣を見ると、メイクも何も全部落とした、
普段からは想像できない涅の姿…
ついドキッとしてしまい、俺は相手から視線を外した。
そんな事をしている間に体も洗い終わり、今度は髪を濡らして、
俺は普通の石鹸に手を伸ばす。
すると、涅が驚いた様子で俺の手を止めた。
「待ちたまえヨ、更木。お前、本当にそれで髪を洗っているのかネ?」
「あ?…文句あるかよ。」
「いや、別にそういう訳じゃないが…よくそれで、髪が傷まないネ?」
眉間に皺を寄せ、信じられないと言うような
口振りで言いながら、俺の髪を触る。
その瞬間、何故だが緊張してしまい、肩がピクンと跳ねた。
しかし、相手はそんな事には気付いておらず、
まじまじと俺の髪を見詰めてくる。
相手は先に頭を洗っていたようで、髪からは湯が滴り、
いかにも妖艶といった様子だった。
恋人がそんな状態で近付いてなんか来てみろ、
緊張しない方がおかしいってもんだ。
「あっ…マ、マユリ…//」
「…なんだネ?」
「っ…ち、近い…から…//」
「ん?…気にするような距離でもないと思うが…
緊張でもしているのかネ?」
また図星を突かれる。
なるべく顔には出さないようにしてんのに、
どうしてこいつにはバレちまうんだ?
俺は何も言えなくなってしまい、ただただ俯くばかり。
「まったく…分かりやすい奴だヨ、お前は。」
「…るせぇ、馬鹿…//」
俺は俯きにプラスして、背中も丸める。
「あー、分かった分かった…もう茶化したりしないから、
頭を上げたまえヨ。洗いにくいだろう。」
そう言って、涅は俺の背筋を正す。
ちょっと待て…今、洗いにくいって…
「く、涅…お前、何する気…//」
「何って…お前の髪を洗ってやろうとしているんじゃないかネ。」
「ば、馬鹿っ//!余計なことすんなよ//!!」
「断る。」
「なっ…//」
あっさり切られてしまった。
どうしてこいつは、いつもこうなんだ…
はぁ…と溜め息をつくと、いきなり頭から湯を掛けられた。
「わぷっ…んっ!」
「私専用に調合した物だから、お前の髪にあうかは分からないがネ…
まぁ、石鹸で洗うよりはマシなはずだヨ。」
そう言って、涅は自分の手にシャンプーを適量出し、
掌に広げるようにしてから俺の髪を洗い始めた。
(ヤバい、緊張する…//)
俺は、表面上はおとなしく洗われているが、内心緊張で
いっぱいいっぱいで、相手にも聞こえるんじゃねぇか
ってくらい鼓動が大きくなっていた。
「…剣八。」
「っ!?な、なん…なんだよ、急にっ…//」
不意に甘い声で名前を呼ばれ、俺は
おもいっきり体を跳ねさせる。
そんな自分の反応が恥ずかしくて、本日三回目の赤面。
真面目に、穴があったら入りたかった…
「そんなに驚く事はないだろう?まったく、可愛い奴だヨ…」
「ばっ!可愛くねぇよ!」
「お前のどこが可愛くないと言うんだネ?見かけによらず繊細で、
奥手で、寂しがり屋で…こんなに愛らしい反応をする奴の、どこが…」
涅は俺の耳元で、わざと吐息混じりに囁いた。