*BLEACH*

□『君の匂い〜一護編〜』@一剣
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「ただいまー。」



ダチとの用事が終わり、自宅に帰ってきた俺。



玄関に入った瞬間、俺の大好きな人の霊圧を感じた。



まさかと思い、親父が話しかけてくるのも無視して、二階の自室へと急ぐ。



そして、自室の前に着くなり、勢いよく扉を開けた。





「剣八っ!…あ、えっ…?」



室内には、しばらく会っていなかった恋人の姿…



ただその恋人は、俺のベッドに静かに横になっていた。



俺は相手に近付き、しゃがんで顔を覗き込む。



「剣八…寝てんのか?」



声を掛けても返事がない…



どうやら、本当に眠ってしまっているようだ。



俺はそっと手を伸ばし、相手の顔に掛かった髪を退けてやる。



「っ…//」



心臓がドクンと大きく脈打つ。



退かした髪の先にあったのは、安心しきった無防備な寝顔…



(やっべぇ…超可愛い…//)



相手の表情に、ついつい見取れてしまう…



恋人がこんな近くで、なんの警戒もない愛らしい
寝顔を見せているのに、見取れない方がおかしいってもんだ。



そして次の瞬間、俺の中で二人の俺が言い合いを始めた。





『ちょ、これ…今ならキスとか、それ以上もし放題じゃね?』



『いやいやいや、流石に寝込み襲うのはマズイだろ…』



『ばっか、寝込みだからこそ襲うんだろうがよ!』



『オイコラ待て、なんだ寝込みだから襲うって!』



『そのまんまの意味だろーが。』



『いや、意味分かんねぇよ!!』





プシューと音を立てて、頭から煙が出始める。



こんな事をずっと考えていたら、そのうちに脳がパンクしそうだ。



俺はフルフルと頭を振り、最後にパンッと両手で自分の頬を叩いて、
なんとか考えを掻き消した。



やっと気持ちが落ち着いたところで、相手の眠るベッドに腰を下ろす。



「なんか…すっげぇ気持ちよさそうだな…」



再び相手に視線を向け、規則正しい寝息を立てて眠る姿を確認すると、
どうしようもないくらい愛らしさを感じてしまった。



(あー、やっぱ駄目だ、可愛すぎる…
俺、マジで剣八の事好きなんだなぁ…)



そんな事を思いながら、俺はフッと目を細め、剣八の髪を優しく撫でる。



その髪は少し堅くて、でも、触った感触は驚くぐらい良かった。



「…起きねぇ、よな…?」



変な意味はないが、俺はゴクリと唾を飲む。



そして、相手と並ぶように横になり、起こさないように前から抱き締めた。



その瞬間、ふわりと大好きな匂いに包まれる。



「んっ…剣八の、匂い……」



何よりも好きで、何よりも落ち着くこの匂い…



だんだん、瞼が重くなってきた…



(…俺も、寝ちまうか……)



そう思った途端に、眠気がいっきに襲ってくる。



俺は剣八の首筋に顔を埋め、深く息を吸ってから目を閉じた。












俺が一番安心出来る場所



それは、あいつの匂いのする場所…



たとえ傍にいなくても



たとえ言葉を交わさなくても



繋がっていると感じられる。



唯一無二の、証だから…
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