*BLEACH*
□『恋愛型狂犬病にご注意を』@狛剣
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「はぁ……」
自らの自室。
儂はある男を待って、縁側で呆けていた。
更木剣八…十一番隊の体長で、儂の恋人である男。
奴の隊の草鹿から、仕事の事は聞いていた。
普段書類仕事などやらぬ男が久々に机に向かうのだ、
時間が掛かるのは仕方がない事だと思う。
だが、やはりいつものように会えないと、
らしくはないが、寂しさが募ってくる。
「今日は、会えんかもしれんな…」
ぽつりと呟く。
すると、背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。
「おい…何情けねぇ顔してんだよ。」
ずっと聞きたいと思っていた声…儂は振り向きながら口を開く。
「更木…仕事は終わったの、か…?」
一瞬思考が停止した。
目の前には、待ちわびた人物がいる…
いるにはいるのだが、いつもと様子が違った。
「あ?…んだよ、人の事見て固まりやがって。」
「い、いや…今日は、髪を下ろしたままなのだな…」
「ん…あぁ…山本の爺にどやされてな、セットする時間もなかったんだよ。」
「そ、そうか……すまん、少し中で待っていてくれ…茶を持ってくる…//」
普段とは違う姿の相手にドキリとしながら、
赤くなる顔を誤魔化して給湯室に向かう。
給湯室に入るなり、ぼふんっと音を立てて顔を真っ赤にし、
扉に寄りかかる形でしゃがみ込む。
(あああ、あれは反則だろうっ///!!…ながながと待たせておいて、
いきなりあんな、見慣れぬ姿で…///奴は、儂の理性を飛ばす気かっ///!!)
同様で声すら出ない。
とりあえず大きく深呼吸をし、少しずつ心を落ち着かせていく。
やっと落ち着いたところで、湯を沸かし茶の準備をして
相手が待つ自室へと向かう。
「待たせたな、更木。今、茶を…なっ…//!!」
喋りながら部屋に入り、ふと窓の近くを見ると、そこには
更木が壁に寄りかかるようにして無防備な姿で眠っていた。
(こやつ…わざとか、わざとやっているのかっ!!
こんな姿を儂に見せて、儂を誘っているのかっ!?)
ドクンドクンと心臓が跳ねる中、儂は震える手で
茶の乗った盆を床に置き、あえて更木の隣に座る。
眠っている奴の姿は、多少疲れた様子ではあったが、凛としていて美しく、
下ろした髪の間から覗く首筋が酷く色っぽさを醸し出していた。
ゴクリと唾を飲む。
普段威圧的で隙を見せないこの男が、
今目の前で、無防備にも眠っている。
儂はそっと手を伸ばし、相手の頬に触れようとした瞬間、
いきなり更木が此方に倒れてきて、儂が膝枕をする形になってしまった。
(なっ!!…こ、これは…マズイ、これ以上何かあったら、もう…//)
儂は相手の肩を掴み、膝から降ろそうとする。
しかし、相手はその手を払い、腰に抱き付いて顔を擦り寄せて来た。
体がビクッと跳ねる。
「んぅ…こま、むら…」
相手に寝言で名を呼ばれる。
その声は甘く、柔らかいものだった。
《 プッツン 》
儂の中で何かが切れた。
「っ…だああぁあぁぁっ//!!」
儂は声を上げて叫び、ついに相手を押し倒してしまった。