*BLEACH*

□『裏切りは満月の夜に』@ノイ剣
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「0時10分前、か…」



俺は今、穿界門の前に他の死神達といる。



この日、現世で仮面の奴らとの戦い合いをする事が、
数日前に決まっていたのだ。



戦乱が始まって一週間…かなり状況が悪くなったらしく、
護廷十三隊は毎日ピリピリしている。



そんな中で、俺は昨日ノイトラと話した事を
密かに思い出していた。





『ノイトラ…明日、現世でお前らの軍勢を迎え撃つ事になった。』



真夜中の自室。



この日緊急隊首会で決まった事を、俺は特殊な
地獄蝶を使ってノイトラに知らせる。



『そうか…こっちも、明日現世に攻め込むとか言ってた…
いっきにそっちまで落とすつもりらしい。』



『チッ……なぁ、どうすんだよ…』



『どうするっつってもな…なんとか、
お前と戦わずに済む方法があれば…』



良い案はないかと、二人で考え込む。



暫くして、ノイトラがあっと声を漏らした。



『なんだ、何か思い付いたのかよ?』



『あぁ…上手くいくかは、分からねぇがな…』



『…言ってみろよ。』



『…明日の戦い、俺達二人で殺し合うフリして、
森ん中かどっかに姿隠して……逃げんだよ。』



『なっ……』



逃げる…奴の口から出たとは思えない言葉。



確かに、霊圧極限まで抑えて瞬歩使えば、
上手くいけば逃げられるかもしれねぇ。



だが、もし見付かったら…



恐らく、二人とも命はねぇだろう。



『…俺達が戦わなくて済む方法は、それしかねぇのか…?』



『あぁ…恐らくな…』



成功する確率は、良くて10%…



かなり危険な賭けにはなるが、俺達二人が戦わずに済むには、
それしか方法がない…



『…分かった、やってみようじゃねぇか。』



暫く考えてから、溜め息混じりにそれだけ言う。



結局俺達は、十三隊&十刃からの脱走を試みる事にした…





(ノイトラ……)



「どうした、更木?酷くボーッとしているようだが。」



「あ…?…いや、なんでもねぇ…」



浮竹の奴に声を掛けられ、一瞬動揺しそうになる。



が、なんとか顔には出さずに受け流した。



するとその時、ゆっくりと穿界門が開き始め、
遠くに現世の空座町が見えるようになる。



0時丁度…これから俺達は、現世に向かう。



そして、向こうに着いてすぐ、あいつと合流して
脱走計画を実行するつもりだ。




覚悟は出来た…俺は、あいつと二人で逃げる。



たとえ失敗したとしても、あいつと一緒なら
死んだって構わない。









穿界門が開ききる直前、ふと空を見上げる。



目の前には、満天の星空に、眩しいくらい輝く満月…



月の光に照らされながら、俺は裏切りへの一歩を踏み出した。
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