*BLEACH*
□『愛らしくて愛しい人』@狛剣
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どんなに見た目が強面だろうと、戦い好きの戦闘狂だろうと…
それがその人物の、本当の姿とは限らない。
実際は、人一倍純粋で、甘えたで…
誰よりも、愛らしい存在だったりするのだ。
七番隊隊舎。
儂は今、そこの自室で非番の1日を過ごしている。
勿論、1人で部屋に籠もっている訳ではない。
目の前には、同じく非番の恋人がいる。
《更木剣八》
十一番隊の隊長で、周囲からは戦闘狂として警戒されている男。
儂としては、警戒する理由が分からんが…
そんな更木は今、胡座をかいて座る儂の膝の上に
前を向いた状態でちょこんと座り、儂の羽織で遊んでいる。
バサバサと広げてみたり、ギュッと抱き締めるようにしてみたり…
時には自分で羽織ってみて、「ぶかぶか…」などと呟いたりもしている。
そんな姿がどうしようもないくらい愛らしく、儂は
相手の頭を子供にするようにワシャワシャと撫でた。
「わっ!?馬鹿、狛村っ…髪、ボサボサんなるだろ!」
相手はフルフルと首を振り、髪を抑えて此方を向いた。
「すまん…どうにも、貴公が愛らしくてな。」
「なっ…//あ、愛らしくねぇよ、馬鹿っ//!!」
儂の言葉を、更木は顔を真っ赤にして否定した。
(そういうところが、愛らしいと言っているのだが…)
そんな事を思ったが、これ以上何か言うと本気で怒り出すのを
知っているため、言葉には出さない。
しかし、この男は何故こんなにも愛らしいのだろうか…
別に、特別小柄というわけでも、幼さがあるというわけでもない。
どちらかといえば、容姿はまさに男といった感じだ。
なのに、どうしようもない愛らしさを感じる…
やはりこれは、恋人だからだろうか?
(儂も、末期かもしれんな…)
自分の現状に、一人苦笑する。
そんな儂の様子を、更木は不思議そうに見詰めていた。
身長差のせいで多少上目遣いになりながら、
小首を傾げて目をパチパチさせている。
…あぁ…愛らしい……
儂は相手をヒョイと抱き上げ、此方向きに座り直させた。
「ん…なぁ、狛村…お前、どうかしたのか?
さっきから様子おかしいぞ?」
「あぁ…いや、なんでもない…」
「そうか?…なら、良いんだけどよ。」
どうも納得がいかないといった様子だったが、とりあえず、
それ以上更木が問い詰めて来ることはなかった。
こういう物分かりの良いところも、愛らしいと思う理由の一つ。
まったく…こやつはどこまで、儂を夢中にさせれば気が済むのだ…