*BLEACH*

□『愛らしくて愛しい人』@狛剣
1ページ/2ページ


どんなに見た目が強面だろうと、戦い好きの戦闘狂だろうと…



それがその人物の、本当の姿とは限らない。



実際は、人一倍純粋で、甘えたで…



誰よりも、愛らしい存在だったりするのだ。





七番隊隊舎。



儂は今、そこの自室で非番の1日を過ごしている。



勿論、1人で部屋に籠もっている訳ではない。



目の前には、同じく非番の恋人がいる。





《更木剣八》



十一番隊の隊長で、周囲からは戦闘狂として警戒されている男。



儂としては、警戒する理由が分からんが…




そんな更木は今、胡座をかいて座る儂の膝の上に
前を向いた状態でちょこんと座り、儂の羽織で遊んでいる。



バサバサと広げてみたり、ギュッと抱き締めるようにしてみたり…



時には自分で羽織ってみて、「ぶかぶか…」などと呟いたりもしている。



そんな姿がどうしようもないくらい愛らしく、儂は
相手の頭を子供にするようにワシャワシャと撫でた。





「わっ!?馬鹿、狛村っ…髪、ボサボサんなるだろ!」



相手はフルフルと首を振り、髪を抑えて此方を向いた。



「すまん…どうにも、貴公が愛らしくてな。」



「なっ…//あ、愛らしくねぇよ、馬鹿っ//!!」



儂の言葉を、更木は顔を真っ赤にして否定した。



(そういうところが、愛らしいと言っているのだが…)



そんな事を思ったが、これ以上何か言うと本気で怒り出すのを
知っているため、言葉には出さない。





しかし、この男は何故こんなにも愛らしいのだろうか…



別に、特別小柄というわけでも、幼さがあるというわけでもない。



どちらかといえば、容姿はまさに男といった感じだ。



なのに、どうしようもない愛らしさを感じる…



やはりこれは、恋人だからだろうか?





(儂も、末期かもしれんな…)



自分の現状に、一人苦笑する。



そんな儂の様子を、更木は不思議そうに見詰めていた。



身長差のせいで多少上目遣いになりながら、
小首を傾げて目をパチパチさせている。



…あぁ…愛らしい……



儂は相手をヒョイと抱き上げ、此方向きに座り直させた。




「ん…なぁ、狛村…お前、どうかしたのか?
さっきから様子おかしいぞ?」



「あぁ…いや、なんでもない…」



「そうか?…なら、良いんだけどよ。」



どうも納得がいかないといった様子だったが、とりあえず、
それ以上更木が問い詰めて来ることはなかった。



こういう物分かりの良いところも、愛らしいと思う理由の一つ。



まったく…こやつはどこまで、儂を夢中にさせれば気が済むのだ…
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ