*BLEACH*

□『裏切りは満月の夜に』@ノイ剣
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『死神 対 仮面』



この戦乱が始まって一週間。



俺はある男と、密かに連絡を取り合っていた。





《ノイトラ・ジルガ》



それが、その男の名前だ。



奴は俺達死神が敵対する仮面の中でも、
実力者のみが与えられる十刃の数字を持っている。



何故俺が、そんな男と連絡を取り合っているのか…



その理由は、俺達の関係にあった。





俺と奴は、この戦乱が始まる前からの知り合い…
いや、それ以上の関係だ。



ある時俺は、隊の任務で現世に行かなければならない事があり、
とりあえず他の隊員は連れずに一人で空座町に降り立った。



その時、同じく任務で現世に来ていた奴に
たまたま声を掛けられ、知り合う事となった。



初めて会ったときは、お互いが敵対し合う相手だとは、
二人とも全くもって気付かなかった。



俺は霊圧を感じ取るのが苦手だし、相手もまさか俺が死神だとは
思っていなかったようだから、気付かないのも無理はないが。



俺達はお互いに価値観が似ていて、初めて会ったにも関わらず、
すぐに意気投合する事が出来た。



その日から俺達は、ちょくちょく現世で会うようになる。



何気ない会話や質問を交わし、時折口喧嘩なんかもしながら、
二人で時間を潰した。



そうして相手の事を知っていくうちに、お互いが
お互いに惹かれ、いつしか意識し合うようになった。



二人でいられる時間や、交わされる言葉が幸せで…



それでも、お互いの気持ちは言葉にしなくても分かるくらい強くて…



俺達は、どちらも告白らしい告白をしないまま、
暗黙の了解で恋人同士となった。



会う度にキスして、抱き合って…それ以上があった事もある。



毎日が本当に幸せで、これが永遠に続けばと思う程満たされていた。



しかし、それ程の関係になっても、俺達はお互いに
自分の本当の正体をバラす事はなかった。





『なぁ、ノイトラ…』



『…あん?』



『お前さ…俺が、実は死神なんだとか言ったら、どうする…?』



『…マジで言ってんのか、それ。』



『おぅ…』



俺はこの日、初めて自分の正体を明かした。



奴を愛してから、正体を隠し続ける事が苦になったからだ。



愛している相手に、これ以上嘘はつきたくなかった…



『どうなんだよ…』



『あー…関係ねぇんじゃね?』



『…んだよ、関係ねぇって。』



『お前…分かれよ。好きだったら、死神だろうが
なんだろうが関係ねぇって言ってんだ。』



予想外だった。



こいつなら、突き放すと思ったのに…



驚いた表情の俺に、更に奴が言葉を続ける。



『それに俺も…仮面、だからよ…』



仮面…最近山本の爺が警戒しろと言っていた、敵の軍勢だ…



『お互い、敵同士だったっつー事か…』



『まぁ、そういう事だ……切るか、俺の事?』



『…いや、止めとく。お前が誰であろうが、
俺のパートナーに変わりはねぇからな。』



そう…結局は、己の気持ちの方が大切なんだ。



相手の立場がどうであれ、俺達の関係は変わらない…



この日俺達は、いつも以上に愛し合った。



その後、戦乱が落ち着くまで、暫く会わないようにしようと
二人で決めて、その日は奴と別れた。



そして、今に至る
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