hp Dream Novel
□大人シリウス夢/マーガレット
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リーマスは時々哀しそうな、しかし何かを訴えるかのような目で真剣に全てを話した。
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ハリーやホグワーツ、そしてシリウスのこと。
リーマスが話す内容1つ1つがジルの記憶に刻まれていく。
ジルは一切口を開かずただうなずきながらその話を聞いた。
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「…シリウス、」
リーマスが全てを話し終えたあと、ジルはふいに彼の名を呼んだ。
瞼が熱くなってきているのがわかる。
「シリウスは裏切ってなんかいなかった。裏切ったのはピーターだ。」
「どうして・・・・」
ジルはぼうっとカップを見つめ呟いた。
リーマスはジルの頭を撫でると優しく言った。
「…ジルはずっとシリウスを信じていたね。」
「・・・・・。」
ジルの目からは静かに
涙が流れ、頬を伝った。
シリウスが、牢獄から外の世界にいる。そんな待ちに待った現実が急に訪れ、思考回路が追いつかない。
もう一度、話してほしい。潔白だったのは誰?真実は?
「シリウスは、どこ?」
現実についていけていないにも関わらず、口からはリーマスを急かすような言葉が出た。本能で、もっと教えてくれとすがっている。
リーマスはジルの顔を一瞬伺ったあと、そのまま話し始めた。
「昨晩、ヒッポグリフと共にホグワーツを発ったらしい。その後の行方はわからない。ダンブルドアも真実を知っていたようだ。」
「また、捕まったりしない?」
「残念ながら、アズカバンを抜け出すなんてことは不可能とされていたからね、魔法省はディメンターを大量に使って総勢でシリウスを探しているよ。だから、大丈夫とは言い切れない・・。」
「・・・・・。」
ディメンターという言葉をきくだけで寒気がする。
「ピーターは結局逃げた。しかし、ハリーが大きな変化を齎してくれたよ。」
「・・ハリーが・・・」
「あぁ、それとハーマイオニーというすばらしい魔女もね。それともうひとつ、」
リーマスはふと窓の外を見て、口を開いた。
「ホグワーツを辞任したよ。」
「辞…任?まだ就任したばかりじゃない!」
「あぁ、しかしやはり人狼という事実は隠すことはできない。今日はその帰りなんだ。」
あっさりと話すリーマスの姿に、"慣れ"という惨酷な言葉が浮かぶ。
ジルは唇を噛んだまま下を向いた。
世の中は不公平だ。
「そんな暗くならないでくれ。もう慣れているんだから。」
リーマスは、ははっと笑いながらジルの肩をぽんぽんとたたいた。
その優しくも哀しげな笑顔に、ただ胸を痛めることしかできなかった。