Galaxy Tales SS

□JUST
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「……しつれーい」


そんな中入ってきた男が一人。


「………アストラ」


よりによってコイツですか。


……アストラはよくレオの執務室に来る。もちろんサボるため。


「あんま堂々と入ってくんなって言っただろ」

アストラのいる宇宙技術科学局と第六師団の関係は有事以外ほとんどない。

あからさまに白衣を着た科学局の美青年がこんなムサい師団の本部にフラフラ来ること(しかもほぼ毎日)は本来おかしいことなのである。


実は前に一回そのことがゾフィーにバレ、二人して注意を受けたことがあった。


さすがにアストラも(少し)懲りたのか、最近はコソコソ出入りしていた……はずなのだが。



「大丈夫だって、ばれてないから」


………こっちはハラハラ以外の何物でもないんだけど。レオは小さく溜息を漏らす。




ただ、レオはアストラを邪険には扱わない。

暇があれば彼にコーヒーを渡したりもするし、軽い雑用を任せることもある。


今回もコーヒーを渡せば、「サンキュ」と言ってもらい、飲みながら何か報告書をまとめている。レオはもといた机に戻り、再び書類に目を通す。







レオは知っている。




アストラの抱くこの星に対しての居心地の悪さを。




元々「正義の為」とか「宇宙の平和を守る」といった意識の薄かったアストラは、その驚くべき頭脳により科学局に入りこそすれ、最初は浮いて浮いて仕方なかった。元々飄々として掴みづらい人格をしていたため、ストイックな研究員の中には彼を煙たがる者も大勢いたとアストラの助手のシオンは話していた。


そんな彼はレオの問い掛けにはいつも「大丈夫」とか「そっちの方がいろいろ心配」とか毒を吐いていたが、彼がストレスを抱えていることは容易に察することが出来た。




だから。




自分は、アストラの最後の砦になろう、と誓ったのであった。


過保護なのは分かっている。




でも。




これ以上、彼に辛い思いはさせたくないのだ。



もちろん、あまりに分が悪いときはちゃんと言うが。


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