Galaxy Tales SS

□Night Club
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 雨が降らないなんて大嘘だ。







 彼がこの地区を知って一番最初に思ったこと。










 光り輝き、治安もピカイチなんてのはこの星の首都のごく狭い一部だ。









 全てが素晴らしい所なんてやっぱりない。






 ひとつ光のカーテンを抜ければ、常夜の繁華街がその姿を現す。






 ───光の国首都の西、有数の繁華街『サルパ』。




 首都の光もここには届かない。






 ここはもともと、史上最悪の泥沼戦争『ウルティメイトウォーズ』からの復興を支えた闇市があり、戦前から他星の行商人も集まった地区である。






 酒場や賭博場、ナイトクラブやしまいに娼屋なんてのもしっかりあり、いかがわしい所でもある。









 ついでに機密事項まで説明しておくと、




 M78星が常光の治安のいい優れた国なんてのは他国に実情を知られないための情報操作である。




宇宙警備隊という平和維持という建て前を掲げた軍隊を持ってんだから、当然といえば当然か。


















 行きつけのバーに向かう途中、アストラはそんなことを考えていた。





 雨で若干湿った若干ウェーブのかかったセミロングの茶髪を掻き上げ、傘を差し、ふぅ、と息を吐いて、Gジャンのポケットに突っ込んだ携帯音楽プレーヤーをいじりながら小走りでそこに向かう。








 まだ昼の3時。一応勤務時間内なのだが、研究室ということもあり早引きしてきた。






 今日は無性に飲み明かすか踊り明かしたかった。

 虚しかった。









 アストラは自分がおよそ光の戦士らしくないことを自覚している。



 ただ、別になろうとも思わない。






(だって)






 一人くらい現実主義者がいたほうがおもしろいじゃないか。










 ………それに。







 正義という幻想は、彼が最も嫌うことの一つだった。


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