Galaxy Tales
□プロローグ
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───闇。
───やはり闇。
星の瞬きも、あまりに遠すぎてこの漆黒を照らし続けることはできない。
ヒュンッッ
風を切る音。
何かが羽ばたいているのだろうか。
それはどうどうともう一つの何かの周りを緩く旋回し、その喉笛を噛み千切る千載一遇のチャンスを待っていた。
もう一つの中何かは身動きが取れず、その場に立ち止まるほかなす術がなかった。
どう。
どう。
どう。
ドン!!!!
闇が微かに動く。
(アタッタ………)
彼は嘲笑し、そう思った。
刹那。
赤い光の濁流が、彼を飲み込んだ。
(ナニ!?)
彼は間一髪でそれを避けた。
しかし。
(ガッ………)
羽の一部が熱線で飛ばされたらしく、無惨にちぎれ、何とも気色の悪い様相を呈していた。
「……終わりか?」
「!!!!!!!」
後ろからの声。瞬時に彼は振り向き、声の主の戦士を切り裂こうとした──
「……シューティングビーム」
微かな、聞き取れるかわからないほどの囁き。
(シマッ……)
言い終わる前に、彼の上半身は無様な羽もろとも完全に消し飛ばされ、刹那の2発目で下半身も全て燃え尽きた。
「さて、戻るか」
その戦士は敵の怪獣が完全に消滅したのを見届け踵を返す。
全身が燃えるような赤に包まれ、頭には立派なツノを戴冠し、腹部には自らの名前のイニシャルが顕されている深紅の光の巨人は、足元に光の渦を出現させ、その中に身を投じた。
──そして再び闇が訪れる。