Dance In The Dark

□#5 Venus Who has a brown HAIR
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「土方さぁん、喉渇いたんで何か買ってきて下せぇ」



「行くかアホ!お前が行け」



「俺忙しいんでさぁ」



「何のほほんと窓の外見てる奴が言ってんだぁあ!!」

万事屋3人と別れた後の土方と沖田はずっとこの状態だった。



「こうやってちゃんとパトロールしてんですよ」



「じゃあお前の目線にある電源のついて画面の開いてるケータイはなんだぁぁあ!!」

さっきから窓の方を向き、ケータイをいじっている沖田。土方はこめかみに青筋を浮かべ、これ以上ない程に険しい目つきで彼を見た。


「ったく………」

そう言ったきり土方は運転に集中する。前を見る土方とケータイを見る沖田。しばらくサイレント・シチュエーションが続く。町の風景が活動写真のように流れていく。



「そーいや土方さん」

沖田が画面を見たまま問い掛ける。



「なんだ総悟」

目線を動かさず応える土方。



「あの件って、あれからどうなったんですかぃ?」


「あの件ってどの件だ」

すかさず返す土方。事実、土方は彼が何について言っているのか分からなかった。



「……例の動きの件ですよ。京の」


「ああそれか」と土方は弾かれたように目線を彼に動かし答えた。



「……最近また活発化しているらしい。攘夷組織が関わっているのは明白だな」



「それを聞いてんじゃなくて」

若干イライラした様子で沖田が遮る。このように不機嫌なのは珍しい。乱暴にケータイを上着にしまう。



「……誰、なんですかぃ?」



土方ははあ、と息をつき、

「……薩州の例の竜らしい。岩倉に接触していたみたいだと密偵から連絡が入った」



「……竜って、あの」



「ああ……気味悪りぃ野郎だ」


土方も不愉快そうな顔でタバコに火をつける。



「……奴は堂々と岩倉の家に入っていったそうだ……まるでバレたところで何も影響などないみたいにな」



「……へぇ」

土方とは対照的に、沖田はケロッとした顔で外を見ていた。




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